パターンブラシを使いこなす1
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※ 使用したバージョン : ComicStudio Ver.4.5.6
今回はパターンブラシを取り上げます。
[パターンブラシ]ツールとはその名の通り、パターン=模様を描くツールです。難しい模様がささっと連続して描けてしまうこの便利なツールを使いこなして、表現の幅を広げましょう!
[1]パターンブラシでできること
[2]パターンブラシとは・・・スタンプ・リボン・エアブラシ・ペン
[3]基本操作・・・ツール設定メニュー
[4]パターンブラシの使用例・・・ツール設定デフォルト使用例
[5]パターンブラシの実用例・・・ツール設定デフォルト実用例
[1]パターンブラシでできること
パターンブラシを使ったらどんなことができるのか!・・・を、先にお見せしちゃいます。
パターンブラシを使いまくっています(笑)。ComicStudioに最初から入っているパターンブラシのみを使いましたが、どこにどんなパターンブラシが使われているかわかりますか・・・?
それではパターンブラシの機能を説明しながら、このパターンをどう描画したのかをご説明していきます!
[2]パターンブラシとは・・・スタンプ・リボン・エアブラシ・ペン
パターンブラシには4つのスタイル(様式)があります。それぞれ描画方法が異なり、同じパターンブラシでもこのスタイルを変更することによって、また違った描画をすることができます。
※登録されているパターンブラシのスタイルはここで確認できます。
[パターンブラシ]ツールを選択します。
「ツールオプション」パレットから、①コンテキストメニューのアイコンをクリックし、②[設定情報を変更]を選択します。
[ツールオプション設定の変更]ダイアログが現れます。
[スタイル]に4つのスタイルがあることがわかります。この4つのスタイルの特徴を覚えましょう!
・スタンプ
名前の通り、スタンプで押したかような描画をします。
模様の形は一定で、パターンとパターンの間の「間隔」などが調整できます。
・リボン
こちらはスタンプとは違い、模様を変形させながら描画します。
[はっぱ]など繋がらない模様だとちょっとわかりづらいですが、下図の[鎖2]のような繋がる模様だとリボンの特徴がよくわかります。
模様をつなげて描画できるのが、このリボンという設定です。
・エアブラシ
エアブラシでシュッと吹き付けるように、パターンを散布することができます。
「間隔」、「密度」、「散布範囲」などを調整できます。
・ペン
あまり使わないと思うので説明だけ。パターンブラシの軌跡を描画色で塗りつぶします。
[3]基本操作・・・ツール設定メニュー
では、[パターンブラシ]ツールの「ツールオプション」パレットの説明に入ります!
ブラシの大きさは勿論、もうちょっと模様の間隔や密度を変えたい場合はこの[ツールオプション]パレットの数値を調整します。
①描画ツールメニュー
描画ツールを切り替えできます。
②ツール設定メニュー
ツールの設定を切り替えます。パターンブラシの種類を変更したい時はここを押して下さい。
③コンテキストメニュー
[タブ表示]と[リスト表示]を切り替えたり、設定の変更、削除や保存ができます。
④ストロークプレビュー
ストロークの形状設定をプレビュー表示します。
パターンや設定を変えると、それに伴いプレビュー画像も変化します。
⑤サイズ
ブラシの大きさを調整します。一番使う箇所ですね。
⑥サイズプレビュー
[サイズ]の設定をプレビュー表示します。
この図中の画像をドラッグすることでもブラシの大きさを調整できます。
⑦不透明度
パターンブラシ画像の不透明度を調整します。数値を下げると薄くなります。
⑧硬さ
ブラシ周辺部での効果の強さを調整します。数値を下げると、柔らかい(ぼけた)線が描けるようになります。
⑨間隔
パターンを描画する間隔を、1~1000%の間で調整します。数値を下げるとパターン同士の間隔が狭まります。
⑩厚み
ブラシの厚みを調整します。数値を下げるとパターンが薄っぺらくなります。
⑪向き
ブラシの向きを調整します。
⑫形状プレビュー
ブラシの形状設定をプレビュー表示します。
この図中の画像をドラッグすることでもブラシの向きを調整できます。
⑬ブラシ形状の変更メニューボタン
ブラシの形状がリスト表示され、ブラシの形状を選択できます。
この中に無い形状は[パターン素材集選択]から選ぶことができます。
⑭アンチエイリアス【Pro/EX】
グレー(8bit)以上の「ラスターレイヤー」に対して、アンチエイリアスのかかった線を描画します。
※黒白2値の印刷の場合、「アンチエイリアス:ON」にするとモアレの原因になります。
⑮散布
パターンを散布する範囲を調整します。数値を上げるとパターンの散布範囲が広がります。
⑯密度
パターンを散布する密度を調整します。数値を上げるとパターンがぎゅぎゅっと密集します。
[ツールオプション]パレットの[タブ表示]と[リスト表示]
[ツールオプション]パレットには[タブ表示]と[リスト表示]と2通りの表示方法があります。
[タブ表示]は設定をカテゴリごとにタブで表示します。[リスト表示]は全て表示します。
表示方法はコンテキストメニューから変更できます。
[4]パターンブラシの使用例・・・ツール設定デフォルト使用例
[パターンブラシ]ツールの代表的な使い方というのは、やはり"トーン削り"でしょうか。トーンの回でも何度かやらせて頂きましたが、[パターンブラシ]ツールを使うと綺麗に削れますよー!
キャラクターの背景にグラデーショントーンを貼り、[パターンブラシ]ツールの「トーン削り用」+「描画色:透明」を使って削っています。顔の影部分のトーンは「砂目ほわ・黒」を使い、さっと光を入れました。
この2種類以外にも、トーンを削るのに適したパターンブラシがいくつも入っています!
「白ほわ丸」を使って、ふわっとした雰囲気を表現してみました。トーンでもできますが、絵に合った大きさの部分を見つけるのは、ちょっと手間ですよね。パターンブラシだと自分のイメージ通りに"素早く"描画できるので楽です!
そして首元のファーの部分には「けば」を使ってみました。
「メロディ」を使って円を描き、「音符B」を散らしてみました。
「パターンブラシ」は定規にスナップできるので、同心円定規(左)や平行線定規(右)を使えば簡単に飾り罫などを描画できます。
※定規の使い方は、機能解説!トラの巻「特殊定規の基本的な使い方」で詳しく紹介していますので、そちらをご覧下さい。
[5]パターンブラシの実用例・・・ツール設定デフォルト実用例
それでは、一番最初にお見せしたこの絵のどこにどんな[パターンブラシ]ツールが使われ、どういう風に描かれたのかをご説明していきたいと思います!
※説明するにあたり、左側の子を「黒子」、右側の子を「白子」と呼びたいと思います。(色味が黒っぽいから黒子、白っぽいから白子・・・ネーミングに深い意味は無いですごめんなさい)
■着物の柄1
まずは着物の柄から。白子に使った着物の柄は「花(朝顔)」のパターンブラシを使っています。
(1)[ツール]パレットから[パターンブラシ]ツールを選択します。
(2)[ウィンドウ]メニューから[ツールオプション]を選択し、[パターンブラシ ツールオプション]パレットを表示します。「ツール設定ボタン」をクリックし、パターンブラシの一覧表を出します。
↓パターンブラシの一覧表は「リスト(大)」表示にしてあります。この一覧をよく見てみると、パターンブラシにはカラー表示・グレー表示・モノクロ表示のものがあると解ります。
どうやらパターンブラシは、カラー表示ならばカラー(32bit)レイヤーに、グレー表示ならばグレー(8bit)レイヤーに描画すると良いことがあるようなのです。なので、今回はカラーレイヤーを作って描画します。
どのような良いことがあるのかは、次回詳しく解説します。
(3)[レイヤー]メニューから「新規レイヤー」を選択し、表現色に「カラー(32bit)」を選ぶとカラーレイヤーが作成されます。
(4)作成したカラーレイヤーにぽぽぽと描画します。
(ちなみに今回使っているパターンブラシは、サイズ以外は全てデフォルトの設定のままです)
うわ、透けてない! モノクロの原稿にカラーで描いている事にもちょっと違和感がありますね(笑)。
このままだとモノクロ原稿としては使えないので、グレー(8bit)レイヤーに変換します。
(5)[レイヤー]メニューから[レイヤーの変換]を選択し、表現色に「グレー(8bit)」を選択します。
グレーレイヤーに変換したことで柄が透けるようになりました!
(グレー(8bit)レイヤーには"白"という概念が無いので、カラーレイヤー時にあった白色が全て飛び、透けるようになりました。柄のはみ出した部分は[消しゴムツール]などで消して下さいね)
[A]の画像の減色手法は「減色しない」にしてありますが、[レイヤー]メニューから[レイヤーのプロパティ]を選択して[プロパティ]パレットを表示し、減色手法を「トーン化」にすれば[B]のように網点化もすぐできます。
※グレー(8bit)レイヤーの減色手法について、詳しくは機能解説!トラの巻「レイヤーって何?[3] 減色手法とは」をご覧ください
[プロパティ]パレットの[トーン]タブをクリックすれば、トーンの形状や線数等を詳しく設定することができます。
(設定しない場合はトーンの形状は「円」、角度は「45°」、線数は「60」になっています)
■着物の柄2
黒子の着物は、パターンブラシ「ツヤ花」でトーンを"削って"います。
まずはトーンを貼ってから作業をしようかと思ったのですが・・・
・・・サムネイルを見る限りではどうもこの「ツヤ花」ブラシはグレー属性のようなので、グレーレイヤーで作業をすることにしました。
(1)[レイヤー]メニューから[新規レイヤー]を選択し、表現色に「グレー(8bit)」を選ぶとグレーレイヤーが作成されます。
(2)[ウインドウ]メニューから[カラー]を選択して、[カラー]パレットを表示します。カラーセットは「標準グレーセット16色」を選択。
この子の着物はちょっと濃い目が良いかなと思ったので60%のグレーで、[ペン]ツールや[塗りつぶし]ツールを駆使して着物部分を塗ってみました。
(3)さて、地ができたので次はパターンブラシで削りたいと思います。
パターンブラシ「ツヤ花」を選択し、描画色は「透明」にします。作成したグレーレイヤーにぽぽぽと描画すれば完成!
■髪
髪の部分はパターンブラシを使ってツヤを入れています。
(1)上記「着物の柄2」の1~2の要領で「グレー(8bit)レイヤー」を作り、60%ぐらいのグレーで髪の部分を塗ってみました。
(2)パターンブラシ「ほわ」を使い、描画色を「透明」にしてツヤを描きます。
このままでも良さそうですが・・・
(3)パターンブラシで描画した上から、髪に塗った色と同じ色で[ペン]ツール等を使って描き足してみました。光が強く出た感じがします!
(4)次は白子の髪を処理します。
再びグレーレイヤーを作り、またパターンブラシ「ほわ」を使い、今度は描画色を透明ではなく50%のグレーにして髪の毛のツヤ部分を描画しました。
そして、黒子の髪の時は書き足しをしたのですが、今度は[消しゴム]ツールでがっと削りました。
ついでに、同じパターンブラシを使って二人の頬の部分に赤みを入れてみました。
こういう風に、ついでに描画できてしまうのがパターンブラシの便利で面白いところですね。
■背景
背景には「砂目ほわ・黒」というパターンブラシが使われています。
サムネイルを見る限り、このパターンブラシは色も付いてないしグレー部分も無いので、モノクロブラシのようです。ということは、黒白(2bit)レイヤーで描画すれば良いに違いない。
(1)[レイヤー]メニューから「新規レイヤー」を選択し、表現色に「黒白(2bit)」を選んで黒白レイヤーを作成します。
(2)作成したレイヤー上にベタを塗り、真っ黒な夜空を作りました。(背景には、後述の効果を見やすくするためにグラデーショントーンを貼りました)
(3)パターンブラシ「砂目ほわ・黒」+「描画色:透明」を使い、この夜空をささやかに削ります。提灯や屋台から漏れた光をイメージして削っていきます・・・
(4)仕上げに入ります!
再び「黒白(2bit)レイヤー」を作り、またパターンブラシ「砂目ほわ・黒」を使います。今度は描画色を「透明」ではなく「白」にして、キャラクターや背景にかかる光を描画します。ついでにホワイトも入れてしまいます。ついでついで。
ここまでで作成した全ての効果を表示+残りはいつも通りトーンを貼って・・・
完成しました!
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