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パース描写-パース定規と3Dワークスペースを活用してらせん階段を描く-

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
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使用したバージョン:IllustStudio Ver.1.2.0

IllustStudioの3Dワークスペースやパース定規を利用すると、パースペクティブを利用した描画を進めることが可能です。ここでは、パース定規と3Dワークスペースを組み合わせて「らせん階段」を作画する方法を紹介していきましょう。

パース定規の使用方法詳細については、機能解説!トラの巻「パース定規の使い方」を参照して下さい。

[1]らせん階段を分解して捉える


今回作画するのは、らせん階段です。

パースに沿ってらせん階段を描くための手順をひとつずつの作業に分解してとらえていきましょう。

 

まず、らせん階段の形を分解してみましょう。

らせん階段を真上から見てみると、このような形になっています。階段の踏み台一つひとつが回転して並んでいる状態です。

 

今度は真横から見てみましょう。階段の踏み板一つひとつが同じ間隔(等間隔)に並んでいます。

 

等間隔に並ぶものを描く方法は「パース描写-1点透視で学校の廊下を描く-」 で詳しく説明されていますので、参照してください。パースに沿って奥行きを作成した状態でも、IllustStudioの変形機能を使うと簡単に位置を割り出すことが可能です。

まずグリッドなどを利用して等間隔線を引いて…

 

[自由変形]などで変形を行うだけで、パースにあわせて等間隔線を変形させることができるようになります。これらの方法を組み合わせて、らせん(螺旋)階段を描く際に役立てていきます。

 

[2]回転する踏み板を作成


真上から見たらせん階段の踏み板は、同じ角度で回転しています。

 

一周は360度。これを7分割しようとすると、360÷7で割り切れません。つまり半端な角度を作成する必要が出てきます。[移動と変形]を利用す ると、図形を回転させることもできるので、1本ずつ直線を回転させてこの様な図形を作成することもできますが、今回はフィルタを使った作成方法を覚えてお きましょう。

このような図形は、フィルタの[変形]→[極座標]を使って簡単に作成することが可能です。フィルタの「極座標」は、ラスターレイヤーでしか利用できないので、この作業はラスターレイヤーで行います。

今回は、図のように真上から見て「7等分割」された状態の踏み板を作成してみましょう。

(1)グリッドを利用して、正方形の中に収まるように7枚分の等間隔で分割線を作画します。正方形上部に青い線が入っていますが、これは最後に階段の支柱を描く際に役立つものです。

 

補足:等間隔線はグリッドレイヤーを使用して描くといいでしょう。ただし、正方形で等間隔線を引く場合は、引く線の数の倍数分のグリッドを使う…など計算しなければ、グリッドをうまく利用できなくなります。


そんな場合でも、正方形の大きさは関係なく別レイヤーに等間隔の線を必要な本数描き、拡大・縮小で後から大きさを合わせると、作業が簡単に行えます。


グリッドの数とは無関係に、正しく等分割された線を作り出すことができます。

次に注意しておくことが「選択範囲のとりかた」です。このような線画を拡大してみると、直線そのものにも「太さ」があり、グリッドの線をまたいで線が描かれていることが判ります。

 

今回のフィルタでは、この部分に着目して作業を進めていきます。

(2)[極座標]フィルタを利用する場合は、変形する図形を選択範囲で指定する必要があります。

 

この時、選択範囲はグリッド線上に作成します。[スナップ先]をグリッドに指定した状態で選択範囲を設定すると、簡単にグリッド線上に選択範囲を作成することができます。

 

(3)[フィルタ]メニュー→[変形]→[極座標]を選択します。

 

(4)[極座標]フィルタの設定ダイアログが表示されるので、「直交座標を極座標に」を選択します。

 

(5)円形に等分割した形状に変形されます。

 

このようにして、まずらせん階段の真上から見た状態の形を作成します。

 

[極座標]フィルタを適用する際に選択範囲を線画の「外側」でとってしまうと……


変形した形状はこのように、2重になった線ができてしまいます。

 

[3]四角い箱をつくる


次にらせん階段を立体に並べていくための、四角い箱をつくります。3Dワークスペースを利用しましょう。

(1)今回は、四角い箱の底面を正方形にしたいので、この3Dグリッドを活用します。「横グリッド」を表示させておきます。

 

(2)ちょうど良い角度に回転させたら、[3Dワークスペースプロパティ]パレットで[カメラ]を選択したまま[移動]-[上下]のスライダーを調整、3Dグリッドの表示位置を下げておきます。

 

(3)3Dグリッドを利用して、パースに沿った形で正方形を描きます。

 

3Dワークスペース内に作画用のレイヤーを作成すると、パース定規を作成しなくても、3Dワークスペースのパースに合わせてペンなどの描画ツールがスナップされるので、活用するといいでしょう。

 

(4)底面の正方形が決まったら、高さは任意でかまわないので、四角い箱を作画します。この四角形はベクターレイヤーに作画しておけば、[交点まで消去]の機能を使った消しゴムなどが利用できるので便利です。

 

(5)3Dワークスペース用のレイヤーとは別に、新しい作画用のレイヤーを作成して、グリッドを利用して、同じ長さの平行線を引きます。今回は、12段分の階段を作るので、線も12本描きます。

 

(6)描いた平行線を、四角形の背面部分に[自由変形]で変形してはりつけます。これで、パースに沿った等間隔線を作成できました。

 

(7)背面の等間隔が作成できたら、それをもとに、他の面にも定規へのスナップを利用して、等間隔線を引いていきます。これで、もとになる四角形の作成が完了です。

 

[4]階段の踏み板を作画する


(1)等間隔線の描かれた四角形が描けたら、らせん階段を真上から見た図をそれぞれの等間隔線をもとに、自由変形して貼り付けていきます。

 

(2)元の図形が描かれたレイヤーを必要な枚数(今回は12枚)コピーして、[自由変形]でそれぞれの高さに形をあわせていきます。この時、貼りつけた図形の向きが一定方向を向くようにします。

 

(3)すべての貼り付けが完了したら、それらを元に踏み板をトレースしていきます。

貼り付けた図形は、今回7つの等間隔線で丸く象(かたど)られています。その線にそって、踏み板をトレースして作画していきます。直線ツールと曲線ツールを組み合わせて描くことができます。パース定規へのスナップはoffにしておきましょう。

 

(4)2枚目の踏み板は、トレースする踏み板部分をひとつずらします。この作業を繰り返して、らせん階段の踏み板を描きます。

 

(5)すべての踏み板をトレースします。

 

(6)トレース元の図形は一番上と一番下を除いて非表示にしてしまいます。

 

(7)支柱を描きます。

 

支柱を描く際は貼り付けたらせん階段の上部から見た図の「青い円」を利用します。

 

(8)今回は、踏み板を支えるワイヤーを描きました。この段階で踏み板や支柱が重なる部分は、「見えなくなる部分」を消しておきましょう。ベクターレイヤーを利用して作画しておくと、[交点まで消去]オプションの消しゴムを利用して、簡単に不必要な部分を削除できます。

ワイヤーの位置は踏み板の位置に合わせるので、支柱と同じように一番上と下の図形を活用します。

 

さらに清書して、色塗りを行えばらせん階段が完成です。それぞれの作業を分解、単純化して考えていくと、実はそれほど難しいことではありません。

コメント
翠河 2014/04/01 08:13
勉強になります