パース描写-パース定規の組み合わせで複雑な建造物を描く-
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IllustStudioの3Dワークスペースやパース定規を利用すると、パースペクティブを利用した描画を容易に行うことが可能です。これまでに紹介してきた内容を組み合わせて、より複雑な建造物を描画する方法を紹介していきましょう。
パース定規の使用方法詳細については、IllustStudio機能解説!トラの巻「パース定規の使い方」を参照して下さい。
[1]奥行きを考えた分解を行う
今回描くイラストはこちらです。
マンションの壁面はベランダよりも奥まっていることが多く、複雑な形になっています。そんな建造物であっても、要素を分解して単純化すれば、パース定規などを使って容易に描画することができます。
まず、マンションの「ベランダ部分」に注目します。ベランダは同じ面部分までせり出しています。
次に、ベランダの奥の「壁」の部分に注目します。窓などは、壁と同じ位置にありますね。
等間隔の窓をパースにあわせて変形させる方法を、「パース描写-1点透視で学校の廊下を描く-」で解説紹介しました。今回は、その応用を行います。
まずはマンションを真正面の角度から見た平面図を描きます。この平面図は[ベクターレイヤー]で用意しておきます。
下図の色のついている部分がベランダです。
下図の色のついている部分が、奥の壁面です。少し手前に出っ張っているベランダと、奥にある壁面が一枚の平面図に描かれている状態です。完成図では ベランダが少しせり出している状態で描画されています。こういった状態の描画を行うには、どのようにしていくかを見ていきましょう。
[2]四角い箱に「奥行き」を作る
まずは、これまで通り基本となる「四角い箱」を描いてみましょう。
今回は[3Dワークスペース]を利用して「見上げた」構図で作画していきます。
(1)3Dワークスペース内にレイヤーを作成し、パース定規機能を利用して、「大きな四角い箱」を描きます。
※3Dワークスペース内にレイヤーを作成し、[定規のスナップ]/[パース定規]をオンにすると、3Dワークスペース内のパースに沿った描画ができます。
(2)最初に描いた箱の前面に沿うように赤い四角形を作図します。
(3)次に、赤い四角から少し奥側にもう一つ四角を描きます。
(4)この奥行きがベランダの「出っ張り」部分の長さになります。
赤い四角と青い四角はパース上で平行、同じ高さ、同じ幅で描きます。下部分の高さを合わせるために、別途ガイド線を引いて作画するといいでしょう。
[3]平面図の貼り付け
赤と青のガイド線を引き終わったら、平面図を貼り付けます。
この平面図を描いたレイヤーはあらかじめコピーして2枚用意しておきます。
(1)まず、赤い部分に平面図を貼り付けます。
[編集]メニュー→[移動と変形]→[自由変形]で平面図を赤い四角に合わせて変形します。
赤い四角に貼り付けた部分が出っ張っているベランダの前面部分を示します。この部分には窓枠は必要ありませんので、後ほど消去します。
(2)同様に、もう1枚のレイヤーは青い四角に合わせた変形を行います。
青い四角に貼り付けた部分がこの「壁面(や窓)」の位置を示します。
(3)次に、赤い四角に貼り合わせた方のレイヤー(前面部分)の不要な線画を削除していきます。
今回は、窓枠の線が不必要なので、[消しゴム]ツールで[線を消去]オプションを利用して、不必要な線を削除していきます。
(4)奥にある壁面部分を表示させて、ベランダの手すり、部屋と部屋の間にある仕切り板などの「奥行きのあるもの」を描いていきます。
(5)前面のベランダ部分と、奥の窓や壁面部分の位置を確認して、ベランダや仕切り板の奥行きの線を描きます。
すべての線画を描き終えたら、準備完了です。
[4]清書を行う
線画が完成したら、その上から清書を行います。
パース定規機能を利用して、線画を清書していきます。
このとき、窓枠や仕切り板などの厚みも表現できるように描きます。イラスト全体からすると細かな部分の描写になるので、フリーハンドで厚み部分の幅をとって線を描いても違和感は出にくいでしょう。
線画の完成図です。
ベランダ部分にタイルが貼られていますが、これもパースに合わせて正確に描画する方法を見ておきましょう。
ベクターレイヤーに、このようにタイルの平面図を描きます。ベランダは4つあるので、レイヤーは4枚コピーしておきます。
[編集]メニュー→[移動と変形]→[自由変形]で、それぞれのレイヤーをベランダの形に合わせて変形します。後は、変形されたタイルの形を見ながら清書を行っていきます。
細かな部分まで線画を描いたら、色づけを行って完成です。
これまで紹介してきた3Dワークスペースやパース定規を用いた描画方法は基本的な内容です。いずれもまず単純な形に分解して捉えていくとこれらの基本的な描画方法で描くことが可能です。
パースは難しいからと尻込みせずに、ぜひIllustStudioの機能を活用して、よりイラストの完成度を高めてみましょう。
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