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色の選び方作り方をマスターする

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
閲覧数 : 82947回 総合評価 : 2件
使用したバージョン:IllustStudio Ver.1.2.0

IllustStudioでは、イラストなどの彩色・着彩を行う際に色を作り出すための方法が何種類かあります。
今回は、IllustStudioのツールやパレットを活用したさまざまな「色」のアプローチ方法を、実際にイラストを描く工程に沿って紹介します。
※カラー系パレットの基本操作について詳しくは、IllustStudio機能解説!トラの巻「カラーセットを活用する」を参考にしてください。

[1]カラーパレットでの色の調整

仕上がったイラストを見たときに、思っていたよりも暗くなったり、明るくなったり、全体的にひとつの色味にかたよっていたりしたことはないでしょうか?
ここでは、なぜそういうことが起こってしまうのかを、キャラクターの肌に影色を塗る場合を例に、[カラー]パレットを使った色の選択方法とあわせて解説します。


1.[カラー]パレットでの色の調整方法

下図はIllustStudioの[カラー]パレットです。初期状態では[サークル]タブが表示されています。
[サークル]タブでは、色に関するさまざまな設定をひとつのタブ内で操作できます。


タブを[HSV]に切り替えると、H、S、Vという3つのスライダーが表示されます。

 

・Hは色相(Hue)。赤黄青といった「色」の種類です。
・Sは彩度(Saturation)。彩度が高いほど鮮やかに、低いほどくすんだ色になります。
・Vは明度(Value)。明度が高いほど色が明るく、低いほど暗い色になります。

[HSV]表示では、これらの3つの要素をそれぞれ独立したスライダーで操作します。
また、初期設定では[HSV]表示になっていますが、他に[HLS]という設定があります。
[

[HSV]の設定は、表示方法が違うだけで[サークル]タブ内の「色空間」でも同じように選択できます。
[サークル]タブの「色相(H)」「彩度(S)」「明度(V)」の調整は、下図のように外側のサークルと、内側にある正方形の「色空間」で調整します。


2.「彩度」「明度」による影色の変化


[カラー]パレットでの「色相」「彩度」「明度」の調整方法を覚えたら、次は実際に影色を作ってみましょう。

下図の人物イラストの肌色をベースに少し色の濃い影色をつけます。

 

先に塗られている肌色はカラーパレットでは下図のように設定されています。
このようなくすみのない明るい肌色を作りたい場合は、正方形の色空間の上辺ギリギリの明度が高い部分から色を選択するとよいでしょう。


次に、影色を選択しますが、ここでは【A】明度を選択する方法、【B】彩度を変更する方法の2通りの方法を試してみます。

【A】明度を変更する場合は、色をピックアップするポイントを下方向に移動させます。


【B】彩度を変更する場合は、色をピックアップするポイントを元の位置から右方向に移動させます。


元の人物イラストに、[明度]だけを変更した影色(【A】)と[彩度]だけを変更した影色(【B】)でそれぞれ陰影をつけました。


【A】【B】それぞれの影色に影響を受けて、ベースの肌色がそれぞれ違う色で塗られているように見えます。

3.「色相」の調整を加えた影色の変化


今度は「色相」を変化させて影色を作ってみましょう。
彩度・明度と共に「色相」を変更します。下図のように、色相・彩度・明度を変更しました。


ベースの肌色よりも少しだけ赤に近づけた色相に設定し、影を塗りました。

 

「明度」「彩度」での変化と同じように、赤い影色に影響を受けて、ベースの肌色自体も赤くなったように見えます。

このように、影の色などイラストの一部に塗られた色が、イラスト全体の色の印象を変えることがあります。
そのため、色を選択するときは、「彩度」「明度」「色相」を意識しながら色を選択することが大切です。

POINT
デジタルイラストの場合、ベースのレイヤーと影のレイヤーを分けて描画しておけば、あとから自由に色を変更・調整できます。いろいろな色を試して変化を確認してみるとよいでしょう。
※あとから色を変える方法については、 「色の調整をマスターする」で解説します。

 

[2]カラーガイドパレットでの色の調整

中間色や影色などを作成するときに、[カラーガイド]パレットを利用すると、より細かな色の調整ができます。
[カラーガイド]パレットには[近似色]と[中間色]という2つのリブがあります。まずはそれぞれのリブの特徴を紹介します。


1.[近似色]リブ


[近似色]リブでは、現在選択中の描画色(メインカラー)に対して、上部と左側に設定された要素のバリエーションを表示します。
中央に表示されている色が、現在選択中の描画色です。


初期状態では上部と左側のスライダーが、「V(彩度)」と「S(明度)」に設定されています。

 

上部と左側のスライダーは、スライダーの隣にある表示をクリックすると、下記の要素にそれぞれ変更できます。

色相(H)/彩度(S)/明度(V)/輝度(L)/透明度(A)/赤(R)/緑(G)/青(B)

 

このように、任意の要素を組み合わせて、さまざまな近似色のバリエーションが作れます。

 

また、スライダーの値を下げると色の範囲が狭くなり、より細かいバリエーションを作成できます。

2.[中間色]リブ

[中間色]リブでは、隅にある4つのタイルに設定された「基準色」に対して、中間色のバリエーションを表示します。
[カラー]パレットなどで任意の描画色(メインカラー)を選択し、隅にあるタイルをクリックすると基準色が設定できます。
4つのタイルそれぞれに基準色を設定して使います。

 

このように、基準色の組み合わせで、さまざまなバリエーションが作成できます。

 

POINT

[カラーガイド]パレットの左上にある[メニュー表示]をクリックすると、ステップ数やグリッド表示を変更できます。


また、パレットの大きさを変更しても、近似色や中間色の色数を変更できます。

 

3.中間色を使った着彩例

[中間色]リブの色のバリエーションを使って着彩してみましょう。
ハイライトから影の部分まで、細かいバリエーションが表示されるため、直感的に色を選択できます。

髪の着彩には、基準色に明るい部分と暗い部分を作るための白と黒、色に深みを持たせるために、黄色っぽい緑色と青っぽい緑色を設定しました。

 

肌の色やハイライトについても、[中間色]リブで色を選択すれば、ベースの色に重ねる色が浮いてしまうような失敗が起こりにくくなります。

 

[3]サブビューパレットとスポイトを利用した色の調整

[サブビュー]パレットは、写真やイラストなどの画像をパレットに表示させて、その画像から色を取得するためのパレットです。
[サブビュー]パレットを呼び出すには[パレット]メニュー→[サブビュー]を選択します。


1.サブビューパレットの使い方


[サブビュー]パレットの[読み込み]アイコンをクリックし、表示されるダイアログで呼び出したい画像を読み込みます。

 

続けて[読み込み]アイコンをクリックすれば、複数の画像を読み込めます。複数の画像を読み込んだ場合は、左右の三角ボタンをクリックして画像を切り替えます。

 

[自動でスポイトに切り替え]ボタンを押しておくと、描画中に他のツールを利用していても、[サブビュー]パレット内ではスポイト機能に切り替わり、素早く色を取得できます。※初期設定で、ボタンが押されているオンの状態になっています。

 

2.サブビューパレットを使った着彩例

[サブビュー]パレットに読み込んだ写真を参考にイラストを描いてみましょう。

(1)[サブビュー]パレットから色を取得し、大まかに色を塗ります。

 

(2)[水彩]ツールの[ツールセット]パレットにある、[水彩筆]や[なじませ]、[色混ぜ]などを使って、大まかに塗った色をなじませます。

 

カメラで撮影した写真を参考にする場合は、コントラストが強くなる傾向があるため、[サブビュー]パレットで取得した色を使うだけでなく、[カラーガイド]パレットなどで色のバリエーションを作り、その色を加えながら描くのがコツです。
また、読み込む画像をあらかじめ調整して、イラストに活用したい色調や明るさにしておくことも有効です。

(3)写真を参考に、トマトのイラストが描けました。

 

[4]カラーセットの活用

色を作成したら、[カラーセット]パレットに登録して保存してみましょう。
[カラーセット]パレットは、自分で作成した色や色のセットをパレットに登録して保存しておけます。
※[カラーセット]の登録や保存の方法について詳しくは、IllustStudio機能解説!トラの巻「カラーセットを活用する」を参照してください。

 

[カラーセット]パレットには、あらかじめ何種類かのカラーセットが登録されています。

[カラーセット]ボタンをクリックすると、登録されているカラーセットを呼び出せます。すでに14種類の[カラーセット]が登録されているので、基本的な色調をここから選択するのもよいでしょう。

 

お気に入りの色やよく使う色を登録しておけば、色を作成する時間を短縮して作業できます。
また、カラーセットは[リスト]表示にすると色に名前をつけられるので、よく使う色に名前を付けて登録しておくと、色を選びやすくなります。


保存した[カラーセット]は、ファイルや素材として書き出せるので、同じ色設定のイラストを複数人で描く場合などに役立ちます。
「*.aco」ファイルとして書き出せば、aco形式に対応する他のアプリケーションと、カラーパレットを共有することもできます。

 

[補足]色の基本概念(RGBとCMYK)について

基本的な色の概念であるRGBとCMYK について解説します。

1.[RGB]とは

[RGB]とは「光の三原色」とも呼ばれ、色そのものが光って色を表現する方法のことです。
パソコンのモニタ画面(液晶画面やCRT画面)は、発光体で色を出しているため、この方式で色を表現しています。

 

3原色は「赤(RED)」と「緑(GREEN)」と「青(BLUE)」。光の原色は、光が重なれば重なるほど明るくなるため、3原色すべてが重なる と「白」になります。反対に、3原色の光がない部分は「黒」になります。これをIllustStudioなどのイラストや画像を扱うソフトでは「RGBカ ラー」と呼んでいます。

2.[CMYK]とは

[CMYK]とは「色の三原色」とも呼ばれ、太陽の光や部屋の光・スタンドの光などの「明かり(環境光と呼ばれます)」がないと見ることができない状態で色を表現する方法のことです。
画像やイラストを印刷する場合に使う塗料は「自ら発光」しないため、この方式で表現しています。

 

3原色は「赤紫(MAGENTA)」と「黄(YELLOW)」と「青(CYAN)」。色の原色は重なれば重なるほど暗くなり、3原色すべてが重なる と「黒」になります。ただし、現在の印刷技術では3原色を使ってもきれいな「黒」にはならないため、印刷時にはキー(KEY)色として黒のインクを使用し ます。これをIllustStudioなどのイラストや画像を扱うソフトでは「CMYK」カラーと呼んでいます。

3.IllustStudio上でのRGBとCMYK

IllustStudioでは基本的にRGBモードでイラストを作成します。
IllustStudioやwebなど、パソコンのモニタ上でイラストを見ている場合には特に意識する必要はありません。
しかし、ポストカードや同人印刷など、印刷することを前提にしている場合には、印刷時(CMYK表示時)に色合いが変化することを意識してイラストを作成する必要があります。

 

IllustStudioには、RGBカラーで描いたイラストをCMYKカラーで確認するための機能があります。
[表示]メニュー→[CMYKカラー]→[CMYKカラー表示]を選ぶと、キャンバス上の表示がCMYKカラーになるため、色の変化を確認できます。確認したら、表示を元のRGBに戻して作業を進めます。

こまめに確認したい場合は、[CMYKカラー表示]をショートカットに登録しておくと便利です。

※ショートカットの登録方法は、IllustStudio機能解説!トラの巻「ショートカットの使い方と登録方法」を参照してください。

 

[表示]メニュー→[CMYKカラー]→[CMYKカラー設定]を選ぶと、[CMYKカラー設定]ダイアログで、IccProfileを指定できます。
もし印刷所などとのやりとりで必要になった場合は、ここで設定できることを覚えておきましょう。

 

コメント
翠河 2014/04/01 19:08
勉強になります