パターントーンを使いこなす カラートーン活用術
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IllustStudioには、描画を強力にサポートしてくれるトーン機能が用意されています。 アナログだと「技術と時間」が必要な描画もIllustStudioの 「パターントーン」を使えば、驚くほど手軽に表現することができます。
[1]トーンの大きさ調整と柄の回転
貼ったトーンの柄の大きさがイメージと違う場合、柄の大きさを変更する必要があります。
[レイヤープロパティ]パレットで簡単に柄の大きさ調整や柄の回転をすることができます。
トーンの貼り方については機能解説!トラの巻「[素材パレット] パターントーン」をご覧ください。
人物の背景に、海辺のトーンを貼ろうと思います。
使用トーン:夏の海辺
キャラクターの背景にしたいのでキャラクターの描いてあるレイヤーの下にトーンを貼ります。
「トーンを貼ったらキャラクターがいなくなっちゃった」なんてことになったら、レイヤーの順番を確認してみましょう。
トーンを貼りました。
トーンの柄が小さいので縦に2つ並んでしまいました。
人物に合わせた大きさに調整しましょう。
トーンの大きさはプロパティパレットで調整します。
(1)[パレット]メニューから[レイヤープロパティ]を選択し、[レイヤープロパティ]パレットを選択します。
(2)[レイヤー]パレットから柄の大きさを変更したいトーンレイヤーを選択し、[レイヤープロパティ]パレットの[パターントーン]リブを選択します。
(3)[レイヤープロパティ]パレットの[表示倍率]を変更し、大きさを調整します。
大きさの調整が出来ました。
しかし、太陽がキャラクターの頭の後ろに…。トーン柄の位置や向きを変えれば調整できそうです。
柄を回転させたい場合は、[レイヤープロパティ]パレットの[パターントーン]リブ→[表示角度]を変更すると、柄が回転します。
[2]トーンの柄の移動
貼ったトーンの使用したい場所がうまく表示されていない場合、トーンの柄を移動する必要があります。
[レイヤー移動]ツールで簡単に柄を移動や回転をすることができます。
(1)[ツール]パレットから[レイヤー移動]ツールを選択します。
(2)[ツールオプション]の[パターントーン]で[柄を移動]を選択します。
(3)[レイヤー]パレットから柄を移動したいトーンレイヤーを選択します。
(4)キャンバスをドラッグして柄を移動します。
柄が移動しイメージ通りにトーンを貼ることが出来ました。
[レイヤー移動]ツールの設定を[レイヤーを移動]のままで使用すると、トーンの柄ではなく、トーンレイヤー自体が移動してしまうので、トーンの貼り付け位置が変わってしまいますので、注意しましょう。
[3]トーンに影をつける
先の項目で使ったような、トーンを貼っただけで作業が終わるようなイラストならばいいのですが、服の模様にトーンを貼ったりした時はそういうわけにはいきません。
影を付けたり、イメージに合わせてトーンの色を変更したりしたいと思います。
ここではその方法を紹介します。
着物にトーンを貼ります。
使用トーン:浴衣柄04(青花)
トーンを貼る前にこの二つのイラストをご覧ください。
同じトーンを貼っただけですが、左のイラストはちょっとだけ平面的に感じませんか?
実は右のイラストは同じトーンを下図のように赤い個所、青い個所に分けて貼っています。
トーンを2枚貼ることにより、柄をずらすことができ、服の重なりを表現できます。
分けて貼ったトーンの柄の移動は前の項目の通り、[レイヤー移動]ツールで行います。
この少しの違いでイラストの仕上がりは大きく変わってきます。
IllustStudioのトーンは何枚使っても無くならないので、どんどん使いましょう。
トーンの貼ったレイヤー構造をお見せしましょう。
それぞれ一枚のレイヤーではありませんが、大まかにご紹介すると下図のようになります。
下地…選択範囲をとったりするための利便性を考え、パーツごとに1色で色を塗っています。
トーン…その上にトーンを貼りました。
影…影のレイヤーはトーンにも影を付けるのでトーンレイヤーの上に。
線画…上に線画レイヤーを持ってくることで、トーンや影に線画が隠れることがありません。
ハイライト…線画にも影響を及ぼすホワイトやハイライトを入れたいので、線画の上に配置しました。
ではトーンを貼った部分に影を付けていきましょう。
(1)トーンレイヤーの上に影用のラスターレイヤー(カラー32bit)を作成し、レイヤー名を「影-乗算」とします。
(2)レイヤーの合成モードを[乗算]に変更します。
レイヤーの合成モードを[乗算]に変更することにより下の絵を隠さないよう影を付けることができます。
(3)では影を彩色しましょう。
今回は[水彩]ツールで彩色しました。
模様も隠れることなく影を付けることが出来ました。
[4]トーンの色を変える
IllustStudioのカラートーンは豊富にありますが、使用したいカラーがあるとは限りません。
「このトーンがもう少し○○色だったらよかったのに!」と嘆きたくなりますが、実はトーンの色を変更することができます。
トーンの色を自分好みの色に変えてしまいましょう。
先ほどの影付けの時の応用です。
トーンレイヤーの上に[合成モード]を変更したレイヤーを配置し、彩色することでトーンの色を変更する方法があります。
トーンの上にピンク色に彩色したレイヤーを配置しました。
このピンク色に彩色したレイヤーの[合成モード]を「通常」から「スクリーン」に変更します。
トーンの柄がピンク色に変わりました。
合成モードの種類は沢山あるのでいろいろ試してみましょう。
■実例
ではここで実例を。
背景は夕刻時なのに、トーンを貼った部分だけお昼のような印象を受けます。
トーンの色を変更してこの違和感をなくしましょう
まず、トーンの上にキッチリ色を塗るのが大変です。そこで[クリッピングフォルダ]機能を使い、その手間を省きましょう。
※[クリッピングフォルダ]とはクリッピングフォルダ内の一番下のレイヤーに描画された領域外をマスクする機能です。[クリッピングフォルダ]について詳しくは機能解説!トラの巻「クリッピングを活用する」をご覧ください
(1)今回は、複数のトーンの色をいっぺんに変えたいので、色を変えたいトーンレイヤーとトーンに影を付けたレイヤーをフォルダに入れます。
フォルダ名を「トーン」に変更しました。
(2)その上にトーンの色変更用の新規レイヤーを作成し、レイヤー名を「トーン色変更」にします。
(3)「トーン」フォルダと「トーン色変更」レイヤーを選択し、レイヤーメニューから[クリッピングフォルダ化]を選択します。
(4)「トーン」フォルダと「トーン色変更」レイヤーが[クリッピングフォルダ]に収納され、「トーン」フォルダに「L」とついていることを確認します。
(5)「トーン色変更」レイヤーを選択し、[グラデーション]ツールで彩色します。[クリッピングフォルダ]化してあるのでトーンの貼ってある領域からはみ出す心配なく彩色できます。
(6)「トーン色変更」レイヤーの[合成モード]を「焼き込みカラー」に変更します。
(7)少しくどくなりすぎたので[不透明度]を「40」に変更します。
(8)もう少し赤くなってほしかったので、更に一枚レイヤーを作成し[合成モード]「ソフトライト」で彩色しました。
青色だったトーンの柄もほんのりピンク色に染めることが出来ました。
[5]テクスチャとしてパターントーンを使う
トーンレイヤー自体も[合成モード]を変更することができます。
さきほどは「トーンの色を変える」という使い方ですが、この方法は「イラストの色彩に合わせてトーンの柄を加える」という使い方に向いているので、テクスチャとしても利用できます。
虹色の文字の描かれたレイヤーの上にトーンレイヤーを配置しました。
トーンレイヤーの[合成モード]が「通常」だと文字の形にトーンが貼られているだけになりますが、[合成モード]を変更すると下に彩色された色に応じてトーンの色が変わります。
■実例1
完成したイラストを和紙に描いたように加工する。
使用トーン:和紙(草模様)
(1)トーンレイヤーをイラストの上に配置し、[合成モード]を「焼き込みカラー」に変更します。
(2)効果が強すぎるので、トーンレイヤーの[不透明度]を「40」に下げます。
イラストを和紙に描いたように加工できました。
■実例2
背景に花火を加える
使用したトーン:打ち上げ花火01
(1)キャラクターと背景が描かれたレイヤーの間にトーンを貼ります。
(2)[レイヤープロパティ]パレットでトーンの柄の大きさを調整しながら、[レイヤー移動ツール]の[ツールオプション]→[パターントーン]→[柄の移動]に設定し、トーンの柄を希望の場所に移動します。
(3)花火の必要な部分を選択範囲で囲み、[選択範囲ランチャー]の[選択範囲外をクリア]をクリックします。
(4)トーンが浮いてしまっているのでトーンの[合成モード]を「スクリーン」に変更します。
これでトーンが背景に馴染みました。
花火トーンを数種類用意すれば、簡単に沢山の花火を打ち上げることができます。
今回使用したトーンはすべて「素材をさがす」よりダウンロードできます。
いろいろダウンロードして遊んでみてください。
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