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パターントーンを使いこなす モノクロトーン活用術

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
閲覧数 : 11763回 総合評価 : 5件
使用したバージョン:IllustStudio Ver.1.2.0

IllustStudioには、描画を強力にサポートしてくれるトーン機能が用意されています。アナログだと「技術と時間」が必要な描画もIllustStudioの「パターントーン」を使えば、驚くほど手軽に表現できます。今回はモノクロ画像を元にして作成されたトーンを使います。

[1]モノクロトーンとは

モノクロトーンとは画像を元に作成されたトーンです。

 

モノクロトーンには「黒(1bit)のトーン」と「黒白(2bit)」の2種類あります。
「黒(1bit)のトーン」のトーンは黒と透明で構成されていて、「黒白(2bit)」のトーンは黒と白と透明で構成されています。

 

白い画像の上にトーンを貼ると、透明部分は白く表示されるので透明と白は区別しづらいですが、透明と白には大きな違いがあります。

 

[2]トーンの柄の大きさ調整と回転

モノクロトーンも基本的な使い方はカラートーンと同じです。復習を兼ねてもう一度紹介します。

貼ったパターントーンの柄の大きさがイメージと違う場合、柄の大きさを変更する必要があります。[レイヤープロパティ]パレットで簡単に柄の大きさ調整や柄の回転ができます。
トーンの貼り方については「[素材パレット] パターントーン」をご覧ください。

人物の背景に、レンガのトーンを貼ろうと思います。

使用トーン:レンガ

 

POINT
レイヤーの順番に気を付けよう

キャラクターの背景線画にしたいので、キャラクターの描いてあるレイヤーと背景色が描いてあるレイヤーの間にトーンを貼ります。


「トーンを貼ったはずなのに何も変わらない!?」「キャラクターの上にトーンの柄が貼られちゃった!?」なんてことになったら、レイヤーの順番を確認してみましょう。

 

トーンを貼りました。

 

トーンの柄がイメージより小さいので大きさを調整しましょう。

トーンの大きさはプロパティパレットで調整します。
(1)[パレット]メニューから[レイヤープロパティ]を選択し、[レイヤープロパティ]パレットを表示します。


(2)[レイヤー]パレットから柄の大きさを変更したいトーンレイヤーを選択し、[レイヤープロパティ]パレットの[パターントーン]リブを選択します。

 

(3)[レイヤープロパティ]パレットの[表示倍率]を変更し、大きさを調整します。

 

大きさの調整ができました。

柄を回転させたい場合は、[レイヤープロパティ]パレットの[パターントーン]リブ→[表示角度]を変更すると、柄が回転します。

 

[3]トーンの柄の移動

貼ったトーンの柄が使用したい場所にうまく表示されていない場合、トーンの柄を移動する必要があります。[レイヤー移動]ツールで簡単に柄を移動したり回転したりできます。

今回はフラスコの中におばけトーンのおばけを一匹だけ貼りたいと思います。

使用トーン:おばけパターン

 

(1)ちょっと大きめにトーンを貼ります。

 

(2)[ツール]パレットから[レイヤー移動]ツールを選択します。

 

(3)[ツールオプション]の[パターントーン]を[柄を移動]に設定します。


(4)[レイヤー]パレットから柄を移動したいトーンレイヤーを選択します。

 

(4)キャンバスをドラッグして柄を移動します。

 

余分に貼ったところを削除すれば、イメージ通りにトーンを貼れます。

 

[4]トーンの形を背景に合わせる

先の項目で使ったトーンを貼っただけで、作業が終わるようなイラストならばいいのですが、壁や地面のパースに合ったトーンを貼りたいときはそういうわけにはいきません。

 

上図のようにトーンの形を変形させてパースに合った柄にする方法を紹介します。

壁にトーンを貼ります。
使用トーン:手書き風レンガ四角

 

壁の部分にトーンを貼りました。

 

このままではトーンの柄と壁のパースが違っていてよくわからない模様になっています。
このトーンの柄を壁のパースに合わせて変形しましょう。

(1)柄を変形したいトーンレイヤーを選択します。

 

(2)[編集]メニューから[トーンゆがみ]→[自由変形]を選択します。

 

(3)パースに合わせて形を変形させます。

 

パースの合わせ方のコツは、背景描画時に使用した[パース定規]があるのなら、[パース定規]の[ガイド線]に合わせて形を変形させます。
パース定規を使用していない場合は、簡単なあたりをとってから作業するとパースを合わせやすくなります。

 

背景のパースに合ったトーンが貼れました。

 

※[移動と変形]でトーンを変形しても貼り付け領域の形は変形できますが、柄の向きや大きさは変わりません。

POINT
トーン貼り替え機能を使えば変形は引き継がれる!?

IllustStudioには、一度貼ったトーンを簡単に貼り替えられる[パターントーンの貼り替え]機能があります。
この機能は貼った場所はもちろん、トーン変形をも引き継いでくれる便利な機能です。
ここでは[パターントーンの貼り替え]機能を少しだけ応用した使い方を紹介します。

■同じパースに変形させたトーンをもう一枚貼りたい!
(1)変形させたトーンを複製します。


(2)[素材]パレットから貼りたいトーンを選択し、[パターントーンの貼り替え]ボタンをクリックします。


(3)パースに合わせて変形させたトーンの情報が引き継がれて、パースに合ったトーンが貼られました。あとは不透明度を変更したり、加工すれば2枚のトーンを生かした模様の完成です。

 

[5]トーンの線の色を変える

IllustStudioのモノクロトーンをそのままカラーイラストに使用するのは抵抗があると思います。
「この柄がカラーだったらよかったのに!」と嘆きたくなりますが、実はトーンの色を変更できます。
トーンの色を自分好みの色に変えてしまいましょう。

1.[合成モード]を利用する方法


[合成モード]を利用する方法は「パターントーンを使いこなす カラートーン活用術 」でも紹介したので、さらっと説明します。

■トーンレイヤーの上のレイヤーの[合成モード]を変更
トーンの上に青いグラデーションで彩色したレイヤーを配置しました。

 

この青いグラデーションに彩色したレイヤーの[合成モード]を「通常」から「ハードライト」に変更します。

 

トーンの柄が青いグラデーションに変わりました。

■トーンレイヤーの[合成モード]を変更
この方法はイラストの色彩に合わせてトーンの柄を加えるという使い方に向いています。
赤いグラデーションに彩色したレイヤーの上にトーンレイヤーを配置しました。

 

トーンレイヤーの[合成モード]が「通常」だとトーンの透明部分に下のレイヤーの色が見えているだけになりますが、[合成モード]を変更すると下に彩色された色に応じてトーンの色が変わります。

 

2.レイヤーカラーを使用する方法


ここからが本当の意味で「トーンの線の色を変える」機能紹介です。
[レイヤーカラーを使用する]はモノクロトーンのみ使用できる機能です。

 

トーンの黒い部分の色を変更できます。
※この機能では黒のみを変更することができ、白は変更できません。

■実例
布団に貼られたトーンの色を変更します。

 

色の変更は[レイヤープロパティ]パレットで行います。

(1)[パレット]メニューから[レイヤープロパティ]を選択し、[レイヤープロパティ]パレットを表示します。


(2)色を変更したいトーンレイヤーを選択します。

 

(3)[レイヤープロパティ]パレットの[レイヤー]リブ→[レイヤーカラーを使用する]にチェックを入れます。
チェックボックスの左にある「+」をクリックすると下に変更される色が表示されます。

 

初期設定では水色に変更されます。
イラストのイメージと合わないので色を水色から変更します。

(4)[メインカラー]の色をクリックします。

 

(5)[色の設定]ダイアログが表示されるので、任意の色を選択し[OK]をクリックします。

 

トーンの色をイメージに合った色に変更できました。

 

3.[クリッピング]機能を使用する方法


トーンの色を彩色して自分の好きなように変えられます。
トーンの上に自分で彩色したレイヤーを配置しました。

 

そのままではトーンが隠れてしまうだけですが、彩色したレイヤーを[下のレイヤーでクリッピング]に設定すると、トーンの柄部分のみ彩色した場所が表示されます。

 

■実例:2枚のトーンの柄の色を彩色する
下図のように2枚のトーンの柄の部分のみに彩色をしましょう。

使用トーン:オリエンタルレース3(上)・レンガ(下)

 

(1)2枚のトーンレイヤーの上に新規レイヤーを作成し、彩色します。

※キャラクターを描画したレイヤーを上に配置しているので、彩色してもキャラクターが隠れることはありません。

 

このまま彩色したレイヤーを[下のレイヤーでクリッピング]に設定しても、直下にあるトーンレイヤー(下図でいう「オリエンタルレース」トーン)しか参照してくれません。

 

今回は2枚のトーンの色が変わってほしいので、2枚のトーンレイヤーがクリッピングの参照先になるようにフォルダにまとめます。

(2)[新規レイヤーフォルダ]をクリックして、2枚のトーンレイヤーをフォルダ内に収納します。フォルダ名を「トーン」としました。

 

(3)彩色したレイヤーを選択し、[レイヤー]メニューから[下のレイヤーでクリッピング]を選択します。

 

2枚のトーンの色を彩色できました

 

[合成モード]や[レイヤーカラーを使用する]、[下のレイヤーでクリッピング]機能を織り交ぜて使用できます。

今回使用したトーンは「素材をさがす」よりダウンロードできます。
いろいろダウンロードして遊んでみてください。

コメント
翠河 2014/04/01 08:10
勉強になります
kurochibi 2012/04/14 04:04
意外と便利なのに実際に使うとなかなか難しいモノクロトーンですが、ここでは初心者から中級者向けにとても分かりやすく説明されています。 本当に初めての方にはやや難しいことが書かれている感も否めませんが、イラスタに結構慣れてきた方や一通り扱えるようになった方には大いに役立つのではないかと思います。