[3] ロングヘアの作成

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
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後頭部から面を下に引き伸ばしてロングヘアを作ります。
後頭部は複数の辺を選択してひとまとめに面張りしましたが、これから作るロングヘアは辺1つ1つが髪の房になるので、一辺ずつに[面張り]で伸ばしていきます。

1.ロングヘア(背面)の作成

 

(1)まずは側面視点([F1]キー)から、[面張り]で後頭部の1番後方の辺を下へ引っ張ります。

デザイン画によると、このキャラクターは髪の長さが腰付近まであるので、目分量で腰位置まで面を作成します。

面の分割サイズは、最初は大雑把、最終的には面分割・調整を行い、後頭部の分割サイズとあまり違いが出ないようにします。
※髪の長さは身体を作成後に調整することにします。

 

(2)次に、伸ばした面の形を調整します。
側面視点で形を整え、背面視点([Shift]+[F3]キー)に切り替えてX軸方向に髪を広げていきます。

ロングヘアは、下のほうで一度膨らみ最後に少し内側に収縮するとっくり形に整えておきます。

 

POINT
立体の形状を整える際には、最初からモデルをぐるぐる動かさず、一方向からポリゴン面の流れを整え、その後に移動軸方向を限定して広がりや厚みを調整するようにします。

 

(3)続いて、ロングヘアの横の広がりの基準になる房を作ります。

背面視点のまま、横髪の後ろの辺を[面張り]で下へ伸ばしていきます。真後ろの房とだいたい同じ位置で面を切るようにして、下まで伸ばします。

 

(4)房の形を整えます。

背面視点でX軸方向の形を整え、その後に側面視点で奥行き(Z軸)を調整します。
※わかりやすいように材質を変えています。

 

(5)真後ろと真横の髪の房ができたので、それを目安にして残りの房を作成します。

辺ごとに[面張り]で下まで引っ張り、視点を適宜に切り替えて形を整えます。

 

 

2.房の調整

 

後頭部の辺から面を伸ばして房を作り終えたら、今度は房単位で厚み・盛り上がりを作ります。
大きさにもバリエーションをつけて髪の毛らしさを出していきます。

(1)房を[ナイフ]→[接続面を連続切断]で切断し、房が山脈状に盛り上がるように真ん中の頂点を持ち上げます。

 

(2)後頭部と頭頂部は「髪の房」をあまり強調したくない(つむじまで髪の房がぼこぼこしているより、後頭部は綺麗な曲面に仕上げたい)ので、適当なところで房の中心の流れ(山脈の峰)を隣の頂点に吸着・結合して、流れを合流させて頂点の整理・間引きを行います。

 

(3)房付け根に近い部分は、単調な切れ込みにならないように、隣の房と面を重ねるように調整します。隙間が見えないように房を重ねると効果的です。

 

POINT

この作業までくると面がかなり入り組んできて、どの面がどの房か分かりにくくなってきます。
一時的に画面表示を切り替えると作業し易くなります。

(A)[表示オプション]の[前]を有効にして、こちらに向いている面だけを表示する。



(B)邪魔な面を選択し、[Ctrl]+[H]キーで表示を一時的に隠す。表示を戻すには[Ctrl]+[G]キー。

 

(4)他の房も同様の手順で形を整えて、ロングヘアの全体像をつくっていきます。

 

(5)毛先に向かうにつれて、ちょっと房が足りない印象です。細い房を追加し変化を出す必要があります。
そこで、髪の房から横へ[面張り]で列を増やし毛先の数を増やします。

[面張り]で房の途中の面から横に1つ面を増やします。

 

POINT
隣の房と繋がっているいる辺から面を伸ばさないように注意して下さい。

 

毛先に向かって[面張り]で面を増やしていきます。

 

正面視点、側面視点から形を整えて完了です。

 

(6)他に毛先が物足りないところに細かい房を追加し全体を整えます。

後ろ髪の房の先端は、設定画を見ると切り揃えているようなので、そのまま四角い形で残しておきます。

 

3.ロングヘア(正面)の作成

 

さて、これで後ろ髪を作成したわけですが、正面視点([F3]キー)から見ると作成した髪が見えません。

 

ポリゴンは基本的なルールとして、表側しか描画されません。面は作成した方向が表となり、表側からしか表示されず、裏からは何も無いように見えます。
また、ポリゴンには当然のことながら「厚み」もありません。4つ(もしくは3つ)の頂点に面を張っているだけなので、面の厚さは0mmです。ですので、後ろ髪を後ろから作っても、前からは何も見えないのです。

これを解決する方法として、ポリゴン面を「両面ポリゴン」に変換するという手段があります。([選択部処理]メニュー→[面を両面化])

 

しかし、個人的にこの「両面ポリゴン」はオススメしません。手っ取り早いのはよいのですが、元の片面ポリゴンに戻すことが困難な上、他3Dツールとの連携やレンダリング時のことを考えても、デメリットが多いと思います。

 

一番よい方法は、裏側には裏側のための面を別途作成することです。厚みが不要な部分は、表側の面を選択して複製(コピー&ペースト)し、[選択部処理]メニュー→[面を反転]で面の方向を裏返します。間違えて表裏の頂点を統合してしまうことを防ぐため、ごくわずかに裏側の面をずらしておくと良いでしょう。

 

 

今回は、後ろ髪にはボリューム感が欲しいので新しい房を作り、出来るだけ裏面が見えないように蓋をします。

(1)背面側のロングヘアとこれより作成する髪の頂点がくっついてしまうのを避けるため、新しいオブジェクトを作成します。

これまで作成していた「Hair_Rear」と同様に、新規オブジェクトをダブルクリックして[オブジェクト設定]ダイアログを開き、[ミラーリング]欄で[左右を分離した鏡面]を選択し適用軸は[X]軸に設定します。

また、[スムージング]欄で[スムージングを適用]もONにし[角度]は「180」とします。

 

(2)正面視点([F3]キー)から、後頭部中心付近に[面の生成]で面を1つ作成し、[面張り]で横に1つ面を増やします。

 

 

(3)側面視点([F1]キー)に切り替え、オブジェクト全体を想定している頭のサイズに合わせて位置を調整します

 

(4)[面張り]で下へ面を引き伸ばします。このとき、面の分割位置は後ろ髪と合わせるようにします。

 

(5) 最初の2つの面からそれぞれ下に面を下ろしたら、形を調整して髪の房とします。

 

POINT

表示変更
[表示]メニュー→[現在のオブジェクト以外の頂点・辺]→[非表示]にすると現在のオブジェクト以外の頂点・辺が見えなくなるので画面がすっきりした状態で作業できます。

 

(6)これらの房も [ナイフ]→[接続面を連続切断]で辺を増やし山脈を作って厚みをつけます。

 

(7)側面視点([F1]キー)で奥行きを調整します。

 

(8)イカゲソのような房が出来たら、これを複製して位置を調整し前から見たときに隙間がないように房で蓋をします。

「obj1」オブジェクトを選択し[複製]をクリック、「obj2」オブジェクトを選択し直して[移動]で横にずらします。

 

 

POINT
コピー&貼り付けで複製した場合は、オブジェクト設定が維持されません。
最終的に「Hair_Rear」にまとめるので気にせず右半分だけ作成するか、もしくは鏡面を再設定してください。

 

複製した房を少し傾けて後ろ髪から飛び出さないように調整し、そのあと形・奥行きを調整します。

 

 

(9)ロングヘア(背面)の房の整理同様に頂点の整理、房の追加を行い、前から見た後ろ髪を作り上げていきます。

 

中心線となる頂点は[編集]→[範囲]等で選択し、[選択部処理]メニュー→[頂点の位置を揃える]で「X=0」の位置に揃え、左右の面が綺麗に繋がるようにします。

 

(9)完成したら[オブジェクト]パネルで、「obj1」オブジェクトを[Ctrl]キーを押しながらドラッグし「Hair_Rear」の上にドロップして1つに統合します。

 

(10)後ろ髪の房の大きさ・形・数は、この後も根気強く調整・追加を行っていきます。

調整には特殊なツールはありません。ひたすら、頂点を動かすだけです。設定画を睨みつつ、自分の求める髪の毛の流れになるまで調整してください。

 

これで後ろ髪のモデリング完了です。次回、後ろ髪のUVとテクスチャについて説明します。

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