提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
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まずは(人間キャラにとって一番重視される)肌部分をテクスチャ展開します。肌が露出しているのは、顔、胸元、肩、手首、太もも。材質は「Skin」です。顔は既にテクスチャをUV展開済みなので、次に重要度が高い(=注目度が高い=テクスチャ面積を消費する)首回り、肩から展開していきます。オブジェクト「Body」から、肌となる首回りの面を[選択]ツールで面1枚づつ選択します。

 

選択した面を材質「Skin」に変更し、UV編集で焼き込みを行いますが、その際にテクスチャの歪みが分かりやすい用に、一時的に材質「Skin」のテクスチャを、格子模様の作業用テクスチャに変更しておきます。

 

[UV編集]に入り、[焼き込み]機能でテクスチャを展開します。これは、テクスチャの上に表示されているモデルの選択中の面を、そのままの形でテクスチャ上に投影した形でUV設定する機能です。この[焼き込み]機能は、焼き込み時のモデルの角度と、テクスチャ上の場所が重要です。出来るだけ面の正面から、テクスチャ上に整理して焼きこんだほうが後々作業が楽になります。

 

焼き込み位置、角度の調整は、モデルを動かす方法と、テクスチャ側を動かす方法があります。モデル側を動かすには、モデルの上で中ボタンドラッグ。拡大縮小、回転も、”マウスカーソルがモデルの上にある状態で操作する”というルールがある他は、普段のプレビュー操作と同じです。([F1]、[F2]、[F3]キーによる視点操作も可能)

 

テクスチャ側を動かすには、モデルの上以外の場所で中ボタンドラッグ(移動)、右ボタン+中ボタンドラッグ(拡大縮小)です。

 

さて、首の形は立体形状のため、一方向からの焼き込みだけでは綺麗に展開図にする事は出来ません。そこで、正面、側面、背面の3方向に別けて焼き込みます。まず[F3]キーで正面視点に。その角度のまま位置と大きさを調整し、[焼き込み]ボタンで焼きこみ。

 

続いて、選択→範囲選択で、綺麗に展開できている正面部分だけを選択解除します。側面と背面が選択された状態で再びUV編集に入り、[F1]キーで側面視点にして焼き込み。焼き込み場所は、正面視点の焼き込みを行った場所の右隣りに、同じ位のサイズで。もう少し気を利かせるなら、焼き込み時にモデルを傾けて、正面の展開図の断面の角度にフィットさせたほうが、最後に展開図を縫い合わせる時に楽です。(モデルのプレビューを傾けるには、[Ctrl]キーを押しながら右ドラッグ。元に戻すにはファンクションキーで視点をリセット)背面側も、同様に[Shift]+[F3]キーでモデルを背面視点にしてから、UV図上で位置を合わせ、焼き込みを行います。

 

 

正面、側面、背面から面を焼きこんだら、これらを繋ぎ合わせます。基本的な手順としては、頂点を一つ一つドラッグ&スナップ(頂点を左ドラッグで移動しながら吸着したい頂点へ近づけ、右クリック)して、面がモデルと同じ形につながるように縫い合わせていきます。この際、モデル上で違う位置の頂点を誤って接着してしまわない様に注意します。モデル上をクリックすると、その場所の面が展開図上でも選択状態になるので、それでこまめに頂点がずれていないか確認。もしも間違ってしまった場合には、UV頂点を選び[分離]で、面毎にバラバラにすることが出来ます。あまり複雑な状態になってしまった場合には・・・もう一度最初から、面を選択して[焼き込み]から再開します。

 

編集オプションの[範]をONにしておくと、頂点を複数同時に矩形選択で選択することができます。(ただし、UVツールが[移動]になっている時のみ)この範囲選択を使うことで、焼きこんだ面の頂点を全部まとめて動かしたり、一部を選択して拡大縮小することができます。前後側面、3つの展開図の位置をあわせ、頂点を結い合わせて展開図をひとつにまとめます。

 

面の展開図を作成するときに意識しなければならないことは「テクスチャの面積、歪み」を最小に抑えること。画面に向かって、きちんと正面を向いていた面は問題なくても、少しでも角度がついていた面などは、当然テクスチャが歪んでいます。これを手作業で修正し、出来るだけ多くの面が歪みなく展開されるようにしていきます。

 

テクスチャが歪むというのは、例えば上図のような場合。台形の面にテクスチャを設定するときでも、展開図上で全く同じ形にすれば、歪むことなくテクスチャが貼られます。しかし、展開図側で全ての面をポリゴンと同形にするには、面をバラバラにする、テクスチャの無駄が多くなるなどの不具合が多く、現実的ではありません。そこで、全ての面を少し歪ませるか、あるいは重要な面は正しい形、重要ではない面は変形させるという手段を使い、結果的に3Dのモデルの展開図を2Dであるテクスチャ上に作成することになります。

 

こうして出来上がったパーツの展開図は、一時的にテクスチャの外側へ並べておきます。腕、脚の素肌部分のテクスチャも同様に展開後、サイズ、角度を調整してテクスチャの中に並べます。

 

続いて肩の展開。「Body」側の”わきの下”は側面から、「Arm」に含まれる肩は正面、背面の2回にわけてUV編集[焼き込み]を行います。肩は円筒状のため、どこかにテクスチャの分割線を設けなければなりません。このモデルでは脇の下が目立たない気がするので、そこで分割してUV展開(焼き込み)・縫合します。

 

 

太腿もサクっと展開。継ぎ目は内股へ隠し、正面と背面に分割して焼き込み、繋ぎ合わせます。(側面の面積も適切に増やします)

 

 

さて、これで素肌が露出する部分のテクスチャは展開が終了しました。次に、これらの展開したパーツを「Skin」テクスチャの中にまとめて整理します。[UV編集]→[CurObj]スイッチをOFFにすることで、現在選択中のオブジェクト以外の展開図も一緒に表示されるようになります。これを使い、それぞれの展開図を、他の展開図と場所が重ならない位置に拡大縮小・回転させて調整します。(編集できるのは現在のオブジェクトに含まれる部分だけです)

模様があるなどの理由でテクスチャ密度が必要になる場所の展開図は大きく、模様の無い場所の展開図は占有面積が小さくなるように配置します。(例えば、目のラインをシャープに描く必要がある顔などは面積を大きく、わきの下や肩などの、肌色のグラデーション程度しか描かない場所は小さくてかまいません)

 

一見、テクスチャ画像のサイズが展開図の配置に関係しそうですが、実は全く影響しません。テクスチャを設定する際に使われる「UV」は、テクスチャ上の「横軸(U)」「縦軸(V)」を表す記号です。このUVは、0から1までの値しかとりません。1以上(あるいは0以下)の数値を入力した場合には、ループします。XYZは空間上の位置を示しますが、UVは、テクスチャの横幅・縦幅の長さを1とした時の位置を表します。従って、大きなテクスチャ画像を使っても、途中で小さなテクスチャ画像に切り替えても、UV座標は全く影響をうけることはありません。

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