トーンを使いこなす 重ね貼りテクニックと表示方法
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※ 使用したバージョン : ComicStudio Ver.4.5.4
今回は、"トーンの重ね貼り"と"トーンの表示方法"を取り上げます。トーンの重ね貼りは漫画では基本のテクニックなので、しっかり押さえていきましょう!
[1] トーンの重ね貼りテクニック・・・トーンの網点を少しずらす
[2] トーンの表示方法1・・・プロパティパレットと、[レイヤー]メニューからの表示変更方法
[3] トーンの表示方法2・・・圧縮フォルダ・コマフォルダを使って網点表示
[1] トーンの重ね貼りテクニック・・・トーンの網点を少しずらす
トーンは、重ね貼りをすることによって画面に立体感を与えることが出来ます。しかし、重ね貼りは変な模様(モアレ)が出たりもする諸刃の剣です。ここでは、モアレの出ない重ね貼りのやり方と、あえてモアレを出す貼り方をやってみたいと思います!
■まずはモアレの出ない綺麗な重ね貼りの方法から
モアレを作らないために重要なことは、「角度とトーンの線数を合わせる」ということです。線数の事を詳しく復習したい方は「トーンを使いこなす・基本編1」まで戻ってみて下さい。戻るのめんどくさい~~~!という方は、
では早速参ります。塗りつぶしツールやマジックワンドツールを駆使して、人物の肌部分にトーンを貼ってみました。
下図のグレー部分がトーンを貼った箇所です。
この人物に影をつけてみたいと思います。
付ける影はこんな感じで。
では肌の色と影のトーンを両方表示してみます。
2枚のトーンレイヤーを表示&拡大してみるとこんな感じに・・・って、あれ? せっかく影をつけたのに、2枚のトーンがぴったり重なっていて影が無くなっています(笑)。
これでは意味がないので、影部分のトーンをずらします!
トーンの網点がぴったり重なっていても、トーンレイヤーがグレーで表示されている状態だと、重なっている部分は濃く見えます。
回避方法は、この講座内の「[3]トーンの表示方法2」をご覧ください。
トーンの柄の移動方法は何種類かありますが、今回はレイヤー移動ツールを使います。
影部分のトーンレイヤーを選択し、マウスやキーボードの矢印キーを使ってトーンをずらしていきます。
しっかり影が出ました!
トーンをずらす方向などは特に決まったルールはありません。そのシーンに合わせて、お好みでどうぞ!
あえて言うならば、上の図はクッキリ過ぎるくらい影が出ていて、いささか影が強すぎる感があるので・・・
この様にトーンをずらす距離や方向を変えて、影の濃さを調整するのも良いかと思われます。一番右側は、重ねた部分が凄く薄くなってますよね。同じトーンなのですが、どれだけずらすかによって表情が変わってきます。
■線数は同じ、でも違う濃度の網点を重ねてみる
シャツ部分に「線数と角度は同じ、でも濃度が違う」トーンを貼ってみました。
この絵はぱっと見ると4種類くらいトーンを貼っているように見えますが、使ったトーンは2種3枚、線数は全て同じです。
このように、線数と角度さえ合っていればモアレは一切出ず、また、濃度を調節することによって様々な色味を加えることが出来ます!
■意図的なモアレ
モアレというのは悪者にされがちですが、意図して出す分には立派なテクニックだと思います。ただ、ちょっと高度なので出来れば触りたくないところ(笑)。でもあえて「人と違うことをやりたい!」という方はどうぞ挑戦してみて下さい!
モアレの出し方は簡単です。線数を合わせるのが綺麗なトーンの貼り方ならば、線数を合わせなければモアレは出ます。例えば・・・
一番下のような、線数の低いトーンと高いトーンの組み合わせだと、結構綺麗な模様になるかもしれません。
「トーンを使いこなす トーンゆがみ編 2」と「トーンを使いこなす トーンゆがみテクニック編 1」でやりました、「クロス45°と万線90°と万線135°のトーンを重ね貼りしてレイヤーを統合→その上に透明グラデーショントーンを貼り→更にホワイトのように万線トーンを貼る」・・・も、重ね貼りの一例です。
[2] トーンの表示方法1・・・プロパティパレットと、[レイヤー]メニューからの表示変更方法
網点で表示されているトーンを削っていると、"どんな風に削られているのか"解らなくなる事があります。
トーンの表示方法を変えることで、トーンがどのように削られているかを解りやすく表示することができます。
表示方法の変更は大きく2種類。トーンレイヤー1枚1枚に個別に設定する方法と、今現在あるトーンレイヤー全ての表示を一斉に変更する方法があります。
■トーンレイヤー1枚1枚に個別に設定する方法
プロパティパレットを使って、レイヤー1枚ごとに設定します。
(1) 表示色
トーンの表示色を変えることが出来ます。初期設定は「グレースケール」ですが、「カラー」も選べます。
(2) 網点の色
表示色で「カラー」を選んだ場合、この項目で色を選べます。初期設定は水色ですが、モニタによっては見えにくい色だと思うので、お好みで変更して下さい。
※上図の右側はこの項目を使ってトーンの色を変えまくった例です。レイヤー1枚ごとに色が設定できるので、こんな遊びも出来ます。
(3) トーン領域
ちょっと前・・・トーンを削る項目で触れましたがここでおさらいします!
この「トーン領域」チェックボックスにチェックを入れることで、トーンの貼られている領域が[A]の色、[B]の濃度で表示されるようになります。
この機能がどんな時に便利かというと・・・試しにこの辺の肌のトーンを削ってみますね。
(1) 通常表示だとこのように見え、どうトーンが削られているか解らない・・・
(2)削りが荒い気がするので、どう削られているのか確認のために「トーン領域」チェックボックスにチェックを入れてみました。
(3)もうちょっと綺麗な削りにするために、このままの状態で更に削ってみます。
・・・と、こんな使い方を想定した機能だと思います。でも前述のトーン網点の色設定ように、ただ色を変えて遊ぶだけでも、作業の気晴らしになって良いのではないでしょうか。ダメですか(笑)。
■ 今現在あるトーンレイヤー全ての表示を一斉に変える方法
[レイヤー]メニューから[トーン表示設定]を選ぶと、[自動設定]・[網点表示]・[グレー表示]・[トーン貼り付け領域を表示]・[トーン貼り付け領域を非表示]と、5つの項目が出てきます。この項目から選択すると、ページ中の全トーンレイヤーに対して設定が適応されます。※但し"閉じた状態の圧縮フォルダ"に対しては、設定が画面に反映されません。(1) 自動設定
初期設定はこれです。画面をズームインすると網点表示に、ある程度ズームアウトするとグレー表示に切り替わる設定です。
(2) 網点表示
トーンを網点で表示します。(画面表示をズームイン/ズームアウトしても網点で表示します...が、限界アリ)
(3) グレー表示
トーンをグレーで表示します。(画面表示をズームイン/ズームアウトしてもずっとグレーで表示します)
(4) トーン貼り付け領域を表示
トーンの貼り付け領域を表示します。
(5) トーン貼り付け領域を非表示
トーンの貼り付け領域が表示されている場合、非表示にします。
[3] トーンの表示方法2・・・圧縮フォルダ・コマフォルダを使って網点表示
[レイヤー]メニューから[トーン表示設定]→[網点表示]・・・では、網点での画面表示に限界がありました。もうずっと網点で表示したいのに!どんなに縮小しても網点であってほしいのに!・・・という網点好きの方にオススメな方法がこれ!
圧縮フォルダについては「圧縮フォルダを使いこなす」で詳しくやっていますので、そちらをご覧下さい。コマフォルダはまだやってはいないのですが、説明するとまた長くなるので(苦笑)、今回はトーンの表示に関係した部分のみのさらっとご説明したいと思います。
■ フォルダとは・・・
レイヤーをまとめて入れておける袋みたいなものです。複数のレイヤーをフォルダに入れて閉じておくと、ついつい長くなりがちなレイヤーパレットが整頓され、見やすくなります。[レイヤー]メニューから[レイヤーのフォルダ化]を選択すると作成できます。
・ 通常フォルダ
[レイヤーのフォルダ化]ダイアログで何も指定しないと、この普通のレイヤーフォルダが作成されます。網点表示に限界があり、フォルダ内のレイヤーを圧縮してパソコンの動作を軽くしてもくれません。ただまとめておくだけの袋!
・ 圧縮フォルダ
[レイヤーのフォルダ化]ダイアログで、「フォルダを閉じた時に圧縮する」チェックボックスにチェックを入れると、この圧縮フォルダが作られます。
フォルダを閉じた状態にすると圧縮がかかる特殊な袋です。フォルダを開けると圧縮が解除されます。元に戻ります。そしてまた閉じると圧縮がかかります。布団圧縮袋みたいですね。
圧縮がかかるのでパソコンの動作が軽くなります。レイヤーを沢山作るとパソコンが重くなって大変!・・・という方はこの圧縮フォルダを使ってみて下さい。
あと、この圧縮フォルダは、閉じた状態ではトーンを網点表示するという、網点好きにはたまらないオプションが付いています。
・ コマフォルダ
[レイヤーのフォルダ化]ダイアログで、「コマフォルダにする」チェックボックスにチェックを入れるとこのコマフォルダが作られます。(自動的に「フォルダを閉じた時に圧縮する」の項目にもチェックが入ります)
ページ内の一部分を切り取って作業したい時に便利な小袋です。作業工程は人それぞれですが、漫画のコマ単位で仕上げをしたい、もしくは分担して作業したい方向けです。
この袋も、「閉じた状態ではトーンを網点表示」というオプションが付いています!
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