パース描写-2点透視で学校の教室を描く-
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IllustStudioの3Dワークスペースやパース定規を利用すると、パースペクティブを利用した描画を進めることが可能です。ここでは、パース定規とIllustStudioの機能を使って「2点透視」の構図を作画する方法を紹介していきましょう。
今回はこのような構図を描くための手順を見ていきます。パース定規の使用方法詳細については、「パース定規の使い方」を参照して下さい。
[1]2点透視のパース定規作成
パースペクティブの2点透視の手法を用いる描画を行うためのパース定規を作成します。
(1)まず、[定規]メニュー→[パース定規]→[2点透視を作成]を選びます。
(2)消失点が二つあるパース定規が作成されます。作成直後のアイレベルはこの二つの消失点と同じ位置についています。
2点透視のパース定規を作成した場合は、[消失点]二つと[垂直]方向にペンやブラシの動きがスナップします。
[垂直]方向にスナップするラインは、アイレベルに対しての垂直方向を指します。
アイレベルを回転させると、アングルを傾けることが可能になります。
初期状態では[アイレベルを水平に固定]がonになっているため、アイレベルを傾けることができません。
アイレベル上の消失点付近で右クリックすると、消失点やアイレベルを調整するためのメニューが表示されます。
アイレベルを傾けたい場合は、必ず[アイレベルを水平に固定]、または[アイレベルを現在の位置で固定]をoff(チェックのない状態)にしておきます。
[2]アナログ的手法による等間隔線の作成
IllustStudio機能解説!トラの巻「パース描写-1点透視で学校の廊下を描く-」の説明では、全体の幅が決まっている中に等間隔線を分割して描くための手順を見ていただきました。
対角線を利用して、元の図形を等分することができました。
今回は、床面の市松模様を作成するために、最初に作った四角形を同じ大きさで増やしていく方法を紹介します。
1.同じ大きさの四角形を増やす方法
まず、平面上での作業手順を見ていきましょう。
(1)まず、任意の大きさで四角形を描きます。
(2)四角形の対角線を描きます。
(3)対角線の交点上で、四角形の辺に平行な直線(2等分線)を引きます。
(4)2等分線を引いたら、四角形の頂点から、四角形の辺と2等分線の交点上を通る線を引きます。
(5)今引いている赤い延長線と、四角形の上辺下辺の延長線の交点を割り出します。
(6)交点から四角形と平行な線を引きます。これで、同じ大きさの四角形をもう一つ作れました。
(7)同様に、次の平行線を作成します。同じ大きさの四角形はこのようにして増やすことが可能です。
(8)垂直な辺を延長すれば、平行線を等間隔に増やしていくことが可能です。
(9)同様に、垂直方向にも平行線を描いていけば、格子模様ができあがります。
2.パースでの応用
(1)平面で行ったのと同様に、パースに沿った状態で格子模様を描いてみます。まずは基準の四角形(赤線)を作成し、そのうち2辺の延長線(青線)を引きます。
(2)対角線を描いて、半分の位置の平行線を描きます。
対角線を引く時は、[Ctrl]+[1]キーで、一時的にパース定規へのスナップをオフにした状態で、[直線]ツールなどを使用します。
(3)再度スナップをオン([Ctrl]+[1]キー)にして垂直方向にも平行線を描いていきます。
(4)作業を繰り返して、床面に市松模様を作成します。
パースに沿った形で、同じ大きさの四角形を複製して、市松模様を作ることができました。
[3]IllustStudioの機能を使った等間隔線の作成
ここまでは、アナログ作業での等間隔線(市松模様)の描き方を説明しました。次はIllustStudioの機能を活用した描画方法を紹介しましょう。
このような市松模様は、グリッドを利用して、簡単に描くことが可能です。
(1)まずは、[レイヤー]パレットでグリッドレイヤーを表示させて、[編集]メニューから、スナップ先を[グリッド]に設定します。
(2)グリッドを利用して市松模様を描きます。この後変形を行いますので、ベクターレイヤーを利用した方が便利でしょう。
(3)この格子模様を床面にあわせて変形します。
変形する際に、指標となる四角形が必要になるので、目印用にパースに合わせて四角形を作画します。
仮の四角形ですので、キャンバスの中に収まる形であれば、適当な大きさで構いません。
(4)仮に描いたパースに沿った四角形を目安に、格子模様を[自由変形]で変形します。自由変形は[編集]メニュー→[移動と変形]→[自由変形]を選びます。
変形ができたら、確定します。確定後も変形作業を重ねて実行するので、ベクター線が太くなったりしてしまった場合は[線幅修正]ツールなどで調整しておきます。
(5)この状態では、床面に格子模様がない部分ができているため、この部分を埋めるために、次は拡大を行います。
(6)パースにあわせた自由変形を確定した後に、今度は[編集]メニュー→[移動と変形]→[拡大縮小]を選びます。[移動と変形プロパティ]パレットで[元画像の比率を維持]をONにします。
格子模様を適当な大きさに拡大します。床面が収まればいいので、あまり極端にする必要はありません。
ある程度大きさを大きくしたら、頂点などを利用して、位置調整を行います。
(7)変形後、[線幅修正]ツールなどでベクター線の太さを調整して、格子模様の完成です。
[4]3Dグリッドを利用する
3Dワークスペースと、パース定規の消失点を合わせておくと、3Dグリッドを活用して、等間隔線を描くことも可能です。3Dワークスペースの扱い方に慣れている場合は、以下の方法も試してみましょう。
(1)構図を考える際に、先に3Dワークスペースで必要なアングルを作成します。
(2)例えば、今回は2点透視の構図ですので、「パース描写-3Dワークスペースを作る-」で 説明したように[カメラ]の[回転]-[水平]部分を回転させることで、2点透視の構図を作成できます。[パース]の値を大きくすると2つの消失点は近づ き、小さくすると離れていきます。3Dグリッドの[縦グリッド]や[横グリッド]も表示させて設定すると判り易いでしょう。
(3)3Dワークスペースを設定したら定規レイヤーにパース定規を作成して、表示されているグリッドを利用して、消失点の位置を合わせます。3Dワークスペースの消失点の位置と、定規レイヤーのパース定規の消失点の位置を合わせる作業です。
(4)3Dワークスペースとパース定規の消失点があっている状態で、線画を描きます。今回は、床面に格子模様を描きたいので、ここから3Dグリッドを活用していきます。
(5)[カメラ]を選んで[上下]のスライダーを調整します。
今回は床面に対してグリッドを利用したいので、[横グリッド]を表示させています。
(6)その他のパラメーターも組み合わせて調整して、細かな位置を決めていきます。
それぞれのパラメーターでグリッドがどのように動くか、何度も試して慣れておきましょう。
[距離]のパラメーターは、グリッドとカメラの位置を調整するものです。このパラメーターを利用して、グリッドの大きさを調整することが可能です。
3Dグリッドを利用すると、パースに沿って変形した状態であっても、正しい正方形や等間隔が簡単に割り出せるようになります。3Dワークスペースを活用して、パースを利用した構図作りに役立ててみましょう。
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