[2]ハンドガンのモデリング①

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
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3. スライドのモデリング①

ハンドガンの土台となる、大きなパーツからモデリングしていきます。 まずはスライドを作成していきます。

・スライドの外形の作成

(1)[オブジェクト]パネルで[新規]をクリックして新しいオブジェクトを作成し、名前を「スライド」とします。 [ミラーリング]タブで[左右を分離した鏡面]を選択し、[適用軸]で[X]にチェックを入れます。

 

なお、この講座ではモデリングするにあたり、材質には半透明色に設定した下図のパラメータのものを適用しています。

 

(2)正面視点([F3]キー)に切り替えたら、[コマンド]パネル→[面の生成]で[辺]を選択し、下絵を参照しながらスライドのラインを作成します。

 

(3)「スライド」オブジェクトを[オブジェクト]パネルで[複製]します。 [複製]パネルの設定は変更せずに、そのまま[OK]をクリックします。

 

(4)[F1]キーを押して側面視点に切り替え、2つになったスライドのラインを、それぞれスライドの先端と後方に位置するように 下絵を参照しながら奥行き方向(Z軸方向)に移動させて配置します。

 

ラインの配置を終えたら、複製したオブジェクトを[オブジェクト]パネル上で「スライド」にドラッグして、結合します。

 

(5)次に、面を張ります。面を張るのは、これまでの講座の通りに[ワイヤー W ]の[三角形面を張る]を 使用しても良いのですが、ここでは、プラグインを使用した場合で説明します。 [オブジェクト]パネルで「スライド」を[Shift]キーを押しながらクリックし、オブジェクトの辺を全て選択します。 その後、[選択部処理]メニュー→[ライン間に面を張る]を選択すると、選択した辺の間に四角形ポリゴンで面が張られます。 ラインの作成順序によっては面が反転して作成されることがあります。その場合は、反転している全ての面を選択し、 [選択部処理]メニュー→[面を反転]を実行して下さい。

 

POINT

プラグイン[ライン間に面を張る]は、選択した2つの辺に含まれる頂点数が同数でなければ適用することができません。

 

[ライン間に面を張る]は四角形ポリゴンで面が張られますので、[ワイヤー W ]で辺を削除する手間が省けて便利です。 [ワイヤー W ]の[三角面を張る]などの方法で面を張った場合は、必ず四角形ポリゴンになるように調整しておいて下さい。

(6)最後に、スライドの後部の成形を行います。 [F1]キーで側面図へ切り替えて、[コマンド]パネル→[移動 V ]で後部の辺を下絵どおりになるように移動させます。

 

後部の面は[F2]キーで上面図視点に切り替え、[面張り]や[ワイヤー W ]の[三角面を張る]等で面を張ります。

 

・スライドの前部の作りこみ①

スライドの前部の成形を行います。まずは、おおまかな形状を作っておきます。 スライドは細長いパーツですので、細かい成形をしようとすると辺が見づらくなったり、選択がしづらいなど面倒なことが 良くあります。そこで、下の画像のように適当なところに[ナイフ K ]を入れて、一時的にオブジェクトを分離しましょう。

(1)オブジェクトを分離するには、[コマンド]パネル→[ナイフ K ]の[ナイフで面を切断]を使用後、[範囲 R ]で分離する範囲を 選択して、[選択部処理]メニュー→[切り取り]を実行。その後、[選択部処理]メニュー→[ペースト]を実行します。

 

モデリングしやすいように、スライドの先頭部分とテンプレートのみを表示しておきます(スライドの後ろ部分は非表示にします)。 スライドの前部は、段差のある二段構造になっています。やや複雑な構造になっていますので、銃に詳しくない方はもちろん、 それなりに知っている方でも、いざ作成しようとすると面の構成に頭を悩ませてしまうかもしれません。工程ごとの画像を順に 掲載していますが、サンプルデータをダウンロードして3Dモデルを見ていただくと、よりいっそう構造が把握しやすいかと思います。

(2)まずは[F1]キーを押して側面図視点に切り替え、下絵を参照しながら[コマンド]パネル→[ナイフ K ]を縦横に使用し、面を分割します。

 

(3)その後、湾曲した凹み部分に沿うように、おおまかに頂点を移動させます。 この後でさらに作りこむ工程が入りますので、ここではまだ頂点は増やさずに、全体的なバランスに注意しながら成形していきます。 立体感がわかりやすいように、下の画像では頂点のX位置がそろっていて平面になっている部分の色を変えています。

 

(4)次に、凹みの下の部分に面を伸ばしていきます。 この部分の面は、凹みからわずかにX軸方向(水平方向)に盛り上がってから下に続いていきます。少々わかりづらい構造になっているので、 注意しながら成形して下さい。[コマンド]パネル→[面張り]で面を作成しても良いですが、ここでは、プラグイン[Edge Extrude]を 使用した場合で説明します。[選択 S ]で、凹み部分の下端の辺を2つ選択し、[選択部処理]メニュー→[Edge Extrude]を実行します。

 

[Edge Extrude]は、全く同じ位置に[面張り]して、なおかつ新規に生成された辺に選択範囲が移る、という機能を持っています。 一見、何も起こらなかったように見えますが、[移動 V ]を使用すると、新しい辺と面が見えてきます。[面張り]に比べると、ドラッグが 必要ないのでどの視点でも使用できるという利点があり、[移動 V ]と組み合わせることで素早い成形ができるようになります。

(5)[Edge Extrude]を実行後、すぐに[移動 V ]に切り替え、生成された2辺を、ハンドルを使用してX軸方向(水平方向)へわずかに移動させます。

 

(6)下図の位置の2つの頂点を選択し、[選択部処理]メニュー→[頂点の位置を揃える]を実行して、奥側の頂点を手前側のX位置に揃えます。 奥側の頂点がオブジェクトに隠れてしまいますが、この後の作りこみの工程で修正しますので、今は手を入れなくて構いません。

 

(7)続けて、下図の位置の2辺を選択して、[選択部処理]メニュー→[Edge Extrude]を実行します。 すぐに[移動 V ]に切り替え、新たな辺をハンドルで移動させて、スライド先端の底面を成形していきます。

 

(8)[F3]キーで正面視点に切り替えて、下絵を参照しながら辺の位置を調整したら、再び[Edge Extrude]→[移動 V ]…と 繰り返して、スライド先端の底面を形作っていきます。

 

この段階では、下図のようなポリゴン構成になっています。

 

・スライドの前部の作りこみ②

スライド前部の作りこみをさらに進めます。凹みの収束部分の構造は若干わかりづらいので、画像ではわからない点が あればサンプルデータを参照しながら成形を進めて下さい。

(1)まずは[コマンド]パネル→[ナイフ K ]を縦横に使用して曲面の分割数を増やし、曲面がなめらかになるように[移動 V ]で 頂点を調整していきます。

 

底面の丸みは、正面視点から見て等間隔に頂点が並ぶように調整すると、きれいなカーブの曲面になります。

 

(2)次に、側面図視点([F1]キー)で湾曲した凹み部分に沿うように頂点を移動させます。

 

(3)続いて、下図の青と黄色の箇所の頂点を選択し、[選択部処理]メニュー→[頂点の位置を揃える]で、X軸の位置を青の頂点の 位置に揃えます。

 

(4)さらに、下図の位置の黄色い頂点を青の頂点に、[移動 V ]と右クリックマージを使用して結合させます。

 

(5)同じ箇所の編集を続けます。下図の位置に[ワイヤー W ]の[辺の間に頂点を挿入]を使用して頂点を挿入し、すぐに[移動 V ]と右クリックマージを使用して下図のように近くの頂点に結合させます。頂点の挿入でできた不要なラインを[ワイヤー W ]の[対角を消去]を使用して削除し、さらに、下図の黄色い線の箇所の辺も削除します。

 

(6)あとは、不ぞろいな頂点の位置を修正するだけです。まずは下図の位置の青と黄色の2つの頂点を選択し、[選択部処理]メニュー→ [頂点の位置を揃える]でX軸位置を青の頂点の位置に揃えます。その後、赤とピンクの4つの頂点を選択し、Y軸位置を赤の頂点の位置に揃えます。

 

(7)最後に、湾曲部分の頂点位置を修正します。下図の位置の青い頂点を[移動 V ]でX軸方向(水平方向)へ少し移動させて、 凹みの角度がなめらかになるように成形します。

 

これで、凹み部分の成形を終えました。 完成形は下図のように、凹みの収束部分に三角形面が2つできる面構成になっています。 また、収束部分右下の、面が足りなかった箇所に[面張り]して、面を伸ばしました。

 

成形時には時に、下絵が役に立たないと感じるかもしれませんが、その通りです。基本的にはパースの付いた 実物の画像の資料を集め、その資料を見ながらのモデリングになると思います。ある程度複雑なモデリングになるとこれは当たり前で、下絵の役割というのはサイズ比率を狂わせないためにあると思って下さい。下絵と少々ズレても気にしない、成形がきっちりしていればOK、そんな気持ちで進めましょう。 下絵に合わないと言っていては、いつまで経っても完成しません。

・スライドの前部の作りこみ③

スライドの側面の成形が終わったら、前面に面を張っていきます。[面張り]や[ワイヤー W ]の[三角形面を張る]を 使用して面を張っても良いのですが、ここでもプラグイン[Edge Extrude]を使用すると便利です。

(1)[編集オプション]で[辺]のみを選択するように設定しておきます。

 

(2)[F1]キーで側面図視点に切り替え、[コマンド]パネル→[範囲 R ]を使用して、スライド前部の辺を全て選択します。

 

(3)[選択部処理]メニュー→[Edge Extrude]を実行して、すぐに[移動 V ]に切り替え、新たに生成された辺をひとまず X軸(水平方向)に動かします。

 

(4)[編集オプション]で[点]も選択できるように設定しなおし、先ほど移動させた辺に含まれる頂点を[範囲 R ]で選択します。

 

(5)[選択部処理]メニュー→[頂点の位置を揃える]を選択し、[頂点の位置を揃える]ダイアログを表示させます。 [X]に「0」を入力して[適用]にチェックを入れ、[OK]をクリックします。

 

(6)一見、きれいに面ができたように見えますが、この時点では重なっている頂点が3つありますので、[オブジェクト]メニュー→[近接する頂点をくっつける]を選択し、[近接する頂点をくっつける]ダイアログを開きます。[くっつける距離]に「0」を入力して[OK]を クリックすると、3つの頂点がくっつきます。

 

(7)次に、スライド前面の下半分の面を選択し、[Delete]キーで削除します。その後、削除した部分の面を[ワイヤー W ]の[三角面を張る]を使用して、下図のようなポリゴン構成になるように張っていきます。

 

(8)面を張り終えたら、[ナイフ K ]の[ナイフで面を切断]を使用し、張ったばかりの面を下図のような位置でざっくりと分割します。

 

(9)次に、[ナイフ K ]の[接続面を連続切断]を使用し、面をパーツの外周付近で分割します。この[接続面を連続切断]を使用するには、対象の面が四角形面でなければならないので、先ほどの手順を行ったというわけです。

 

(10)下図の位置の面はつながっていない頂点があるので、いったん、面を削除します。その後、[面張り]や[ワイヤー W ]の[三角形面を張る]で面を張りなおせば、スライド前面の完成です。

 

・スライドの前部の作りこみ④

成形したオブジェクトを、分離したオブジェクト(スライドの後ろ部分)と1つにまとめます。分離したオブジェクトとの接合部分の頂点のズレには注意して下さい。細かい成形時に頂点が少し移動しているということは良くあります。オブジェクトをまとめて、[移動 V ]と右クリックマージを使用して頂点を結合した後、[選択部処理]メニュー→[頂点の位置を揃える]を使用します。頂点の整列を忘れずにしておいて下さい。

 

これでスライドの前部はほぼ作り終わりました。だんだんとハンドガンの形状に見えるようになってきたのではないでしょうか。

これで、今回の講座分は終了となります。次回は、スライドの続きとマズルをモデリングしていきます。

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