[3]ハンドガンのモデリング②

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
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4. スライドのモデリング②
5. マズルのモデリング

4. スライドのモデリング②

・スライド後部の作りこみ

スライドの後部を作り込みます。

(1)ハンマーが納まる部分にあたる溝を作成します。 上面図と側面図視点で下絵を参照しながら、[コマンド]パネル→[ナイフ K ]の[接続面を連続切断]を使用して、スライドを輪切りにするように2つのラインを入れます。

 

(2)上面図視点に切り替え、溝となるラインを[ナイフ K ]の[ナイフで面を切断]で作成します。その後、[移動 V ]や[ワイヤー W ]を使用して不要な頂点や辺を削除します。

 

(3)溝の位置の面を選択し、[コマンド]パネル→[押出 E ]を使って溝を作成します。

 

面を内側に押し出す事になりますが、こうするとだいたい、鏡面との接続箇所やオブジェクトの端に不要な面が出来ます。 不要な面を削除した後、面の流れを調整して、後部の作りこみは終了です。

 

・スライドの側面の凹み

 

次にスライドの側面にある凹みを作成します。

(1)側面視点([F1]キー)に切り替え、下絵を参考に[コマンド]パネル→[ナイフ W ]を入れてラインを作成します。

 

(2)下絵を参照しながら、[移動 V ]で頂点を成形して下さい。

 

・エジェクションポートの成形

スライド上面にある薬きょうの排出口、エジェクションポートを成形します。 先ほどと同様に[コマンド]パネル→[ナイフ K ]で側面からラインを入れて、形を作っていきます。

(1)側面視点([F1]キー)で、エジェクションポートの始端に近いカーブ部分と終端に[ナイフ K ]を使用し、ラインを作成します。

 

(2)上面視点([F2]キー)と側面視点([F1]キー)を切り替えながら、下絵を参照しつつエジェクションポートのラインになるように、[コマンド]パネル→[移動 V ]で頂点を調整します。

 

(3)エジェクションポートにあたる面を全て選択して、[コマンド]パネル→[押出 E ]を使用して、垂直方向へ窪ませるように面を押し出します。 鏡面部分との境に不要な面が発生するので、それを削除したらポートの完成です。

 

・スライドに厚みをつける

スライドに厚みをつけます。厚みといっても、スライド全体を分厚くするわけではなく、この後で作成するボディ部分のオブジェクトなどと重なったときに隙間が見えないように、底面に少し面を張るだけですので簡単な作業です。

(1)スライド側面の下端の辺を選択し、 [選択部処理]メニュー→[Edge Extrude]を使用して面を作成します。 すぐに[コマンド]パネル→[移動 V ]に切り替え、水平方向(X軸方向)に移動して厚みをつけます。

 

(2)図の箇所の厚みも、[コマンド]パネル→[面張り]や、[ワイヤー W ]の[三角面を張る]を使用して、作成します。

 

POINT

この部分の工程では、ひと工夫加えた別のモデリング方法もあります。

(1)スライドの全ての面を選択して(ショートカットは[Ctrl]+[A]キー)、内側へ面を押し出すように[コマンド]パネル→[押出 E ]を実行します。


(2)押し出しで作成された面のうち、厚みの部分のみを[選択 S ]の[ベルト選択]で選択して、[選択部処理]メニュー→[切り取り]しておきます。


(3)[編集]メニュー→[元に戻す](ショートカットは[Ctrl]+[Z]キー)で押し出し前まで工程を戻った後、[選択部処理]メニュー→[ペースト]を実行すると、切り取りした厚み部分のポリゴンが別オブジェクトとして作成されます。


(4)その後、厚み部分のオブジェクトをスライドのオブジェクトと結合し、不要な面の削除と頂点の結合や調整を行って、成形していきます。 一時的な押し出しで厚み部分を入手するこのモデリング方法は用途が広く便利なので、是非覚えておいて下さい。

 

・スライド側面の溝の作成

スライド側面の溝を作成します。準備として下絵を参考に、溝の始点と終点にナイフで分割を作っておいて下さい。

 

ここは、プラグイン[辺を等分割]を使用すると楽でしょう。プラグインが使えない方でも、これぐらいの分割数であれば、 [コマンド]パネル→[ナイフ K ]の[接続面を連続切断]を[Shift]キーを押しながら使用することで行える、等分割機能を繰り返せば 同じ事ができますので安心して下さい。ただ、プラグインが使えるというのは、こういうところで時間の節約が大きく出来るという 事なのです。ここでは分割数は22ですが、これが100、200となった時の作業時間と疲労度の違いは大きいかと思います。

(1)[辺を等分割]を使用する前準備として、下図のように、分割する箇所の水平方向の辺を全て選択します。 辺をひとつひとつ選択していっても良いですが、[コマンド]パネル→[選択 S ]の[ブラシ選択]を使用すると、さっと垂直方向に撫でる だけで選択できるので便利です。

 

この時、底面の厚み部分の辺を選択し忘れたり、余分な辺を選択したりすると[辺を等分割]の結果が異なってしまいますので、注意してください。

(2)辺を選択したら、[選択部処理]メニュー→[辺を等分割]を選択します。 ダイアログが表示されますので、分割数に「22」と入力して[OK]をクリックします。きれいに垂直方向に分割できていればOKです。 分割が途中で途切れている場合は、辺の選択箇所が間違っていたということなので、[編集]→[元に戻す]で分割前まで工程を戻し、 再び辺の選択を行ってから再実行して下さい。

 

(3)作成した分割面の溝に当たる部分の面を、[コマンド]パネル→[選択 S ]で交互に選択していきます。 [F2]キーで上面視点に切り替えて下絵を参照しながら、選択した面を[コマンド]パネル→[押出 E ]でマイナス方向(内側)に押し出します。

 

(4) [移動 V ]と右クリックマージを使用して、溝の上側の不要な頂点を下図のように結合していきます。溝の底部にできた不要な面も削除します。

 

(5)上部の面は先ほどの工程で形成し終えたのですが、底部の辺と面を削除すると、辺を共有していた裏側の箇所の面も消えてしまうので、 もうひと手間加えます。まずは、櫛の歯のように並んでいる面に対して[ナイフ K ]の[ナイフで面を切断]を使用し、面を分割します。スライド前部へと 続く厚みの面に対しては、[ナイフ K ]の[接続面を連続切断]を[Shift]キーを押しながら使用し、面を等分割しておきます。

 

(6)次に、離れている頂点を下図のように[移動 V ]と右クリックマージを使用して結合させていきます。

 

(7)最後に、[ワイヤー W ]や[面張り]などを使用し、欠けている箇所の面を作成して、スライドの溝は完成です。

 

・鏡面をフリーズして非対称部分を成形

「・スライドの側面の凹み」で作成したスライド側面の凹みは、実は鏡面側には存在してはいけない非対称な構造なので、そこを修正するためにも、 ここで鏡面をフリーズしてしまいます。フリーズ後は頂点の調整の手間が単純に倍になりますので、平面がきっちりとしていない頂点などは、フリーズ前に [選択部処理]→[頂点の位置を揃える]を使用して、しっかりと整頓しておいて下さい。

(1)[オブジェクト]メニュー→[曲面・ミラーのフリーズ]を使用して、鏡面をフリーズします。

 

(2)フリーズ後、スライド右側(拳銃を右手で握ったときに親指以外の四本の指が来る側)の凹みを埋めて、平らな面にします。 [選択部処理]メニュー→[頂点の位置を揃える]や、[コマンド]パネル→[移動 V ]を使用して、凹みを埋めて下さい。

 

あと一息でスライドのモデリングが完成です。ここまでの工程で、下図のようなポリゴン構成になっています。

 

オブジェクト「スライド」は、この後しばらく編集しませんので、ロックをかけて編集不可にしておきましょう。

5. マズルのモデリング

引き続き、スライドを作りこんでいきます。今度はマズル(銃口)をモデリングします。

・円柱パーツのモデリング

(1)まずはマズル用の新規オブジェクトを作成します。名前はわかりやすく「マズル」としておきます。

(2)オブジェクト「マズル」を選択して、[コマンド]パネル→[基本図形 P ]から円柱を作成します。 [詳細設定]を使用してU方向「24」、V方向「1」の分割数で円筒を作成し、下絵を参考に銃口にぴたりとはまるように、 [回転 C ]と[移動 V ]、必要ならば[拡大 Q ]を使用しながら配置します。

 

(3)円柱を配置できたら、同様の手順で円柱をもうひとつ作成します。 新たな円柱は銃口の下にある円柱状のパーツの位置に合うように[移動 V ]と[拡大 Q ]を行い、配置します。

 

作成した円柱を利用して、モデリングに必要な素材を作成します。

(4)[編集オプション]で[辺]のみを選択するように設定しておきます。 その後、[F1]キーで側面視点に切り替え、銃口部分の前方の辺を[コマンド]パネル→[範囲 R ]で選択します。

 

(5)選択状態を保ったまま[F3]キーで正面視点に切り替え、円柱の中央部分を、[選択 S ]の[ブラシ選択]で[Ctrl]キーを押しながら触れて、非選択にします。これで、選択範囲は円状の辺になります。

 

(6)次に、[選択部処理]メニュー→[Edge Extrude]を使用してから、すぐに[拡大 Q ]に切り替えて、[F3]キーの正面視点を参照しつつ、銃口の厚みに合うように辺の厚みを調整して下さい。

 

(7)作成したリング状の面のみが残るように、円柱の後ろ部分と中央部分を削除します。

 

(8)最後に、残ったリング状の面を選択して[押し出し E ]を実行すれば、銃口部分の完成です。 なお、[範囲 R ]などで全ての面を選択すると面の両側を選択してしまい、[押出 E ]が両面に働いてしまうので、銃口の後ろ側から [選択 S ]の[ベルト選択]で面を選択し、[押出 E ]して下さい。

 

(9)銃口の下の円柱は、後ろの部分の辺を[範囲 R ]で選択し、[移動 V ]で後方(Z軸方向)へと移動させます。 銃口の奥行きも同様に長く伸ばします。これで、マズルの完成です。

 

・マズルパーツのモデリング

銃口のパーツを元に、周囲のパーツを作成します。

(1)まずは、オブジェクト「マズル」の銃口部分の先端の面を、[F1]キーの側面視点で[コマンド]パネル→[範囲 R ]を使用して、全て選択します。その後、[選択部処理]メニュー→[コピー]し、続けて[ペースト]することで、リング状の新たなオブジェクトを作成します。 区別しやすいように、オブジェクト名は「マズルパーツ」としておきます。

 

(2)[F3]キーで正面視点に切り替えて下絵を参照しながら、マズルパーツの大きさを[拡大 Q ]を使用して調整します。マズルパーツの輪の内側を、銃口に触れない程度の位置に配置します。

 

(3)輪の外側がまだ下絵通りにはなっていないと思いますので、[投縄 G ]などを使って正面視点で外縁の辺を選択し、 [拡大 Q ]で下絵に沿うように大きさを調整します。こうすることで、手作業での作成は難しい、きれいな円状のラインを持つパーツを作成します。

 

(4)次に、銃口の下の円柱部分との境界も作成します。 まずは、編集の手間を軽減させるために、パーツを鏡面化しましょう。[F3]キーの正面視点で[範囲 R ]などを使用して、パーツの左半分の頂点を選択し、[Delete]キーで削除します。その後、オブジェクト設定でX軸に対しての鏡面設定を行います。

 

(5)パーツの半分を削除してから鏡面設定を行った際に、上図のように、鏡面が離れて表示されることがあります。 これは、オブジェクトの中央部分の頂点のX軸の位置が0ではないためです。きちんとくっつけて表示させるためには、 オブジェクト全体を選択してから、[移動 V ]の[絶対]を選択し、X軸の位置を「0」に設定して[OK]をクリックします。

 

(6)準備が整ったら、マズルパーツの下部の辺を[コマンド]パネル→[面張り]で伸ばして行き、新たな面の頂点を、 右クリックを併用した[移動 V ]で、オブジェクト[マズル]にある銃口下の円柱に吸着させます。

 

(7)引き続き、[面張り]で辺を伸ばしていき、[移動 V ]で頂点を円柱に吸着させます。 さらに、マズルパーツの外側のラインがなめらかになるように、[ナイフ K ]の[接続面を連続切断]で面を分割して 頂点を増やし、下絵を参照しながら[移動 V ]で成形していきます。

 

(8)円柱と同数の頂点を作成し終えたら、円柱に吸着させたマズルパーツの頂点は、パーツごとの境目としてわずかに円柱から離しておきます。円柱への吸着時に、面の奥行きが凸凹としてしまっていたら、[選択部処理]メニュー→[頂点の位置を揃える]で平らにしておきましょう。

 

(9)満足のいく形状に仕上がったら、マズルパーツの面を全選択して、前方(Z軸方向)に向かって[押出 E ]を使用し、 厚みを付けます。この際、片面ポリゴンから押し出ししたためにパーツの裏側には面がない状態になりますが、この後の工程でスライドと重なってしまうので、とりたてて面を張る必要はありません。

 

・マズルパーツの作りこみ

マズルパーツは銃口よりも少し大きく作成したので、現状では銃口との間に隙間が空いています。この隙間を埋めます。

(1)まずはパーツの側面を[コマンド]パネル→[ナイフ K ]の[接続面を連続切断]を使用して切断し、分割数を上げます。

 

(2)次に、内周部の面を選択し、[押出 E ]を使って内側へ盛り上げて成形します。

 

(3)押し出しした際に、鏡面との接合部に不要な面ができているので、削除します。 また、接合部の頂点位置も中心からずれているので、[選択部処理]メニュー→[頂点の位置を揃える]で整頓しておきます。

 

(4)[F3]キーで正面視点に切り替え、銃口と重なりつつも内側にめり込まない程度にポリゴン位置を調整します。

 

これで銃口のモデリングは完成です。余裕があれば下図の位置の角を[ナイフ K ]などを使用して取っておきましょう。細かい点ですが、このように手を加えることで見栄えが良くなります。

 

・スライドに穴を開ける

ここまでで作成したオブジェクト、「スライド」と「マズル」、「マズルパーツ」を同時に表示させてみると、 銃口の穴が閉じて表示されます。これは、「スライド」の前面に銃口用の穴が開いていないためです。穴を開けて、 きちんと表示されるようにしましょう。

 

(1)オブジェクト[スライド]の前面の頂点に対して、プラグインの[頂点周りを連続切断]を使用したり、[ワイヤー W ]の [辺の間に頂点を挿入]を使用して、面の分割数を上げます。

 

(2)その後、中心部分の頂点を削除してポリゴンに穴を開け、銃口の外側に頂点が並ぶように成形します。

 

これで、ようやくスライドが完成しました

このように、複数のパーツで構成されるモデルを作成する場合、パーツ間のバランスや隙間を確認しつつ進めなければなりません。 パーツ間の隙間が開いている場合、それがデザインの一部でなければ必ず修正しておきましょう。

 

これで、今回の講座分は終了となります。次回は、ボディをモデリングしていきます。

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