[9] 頂点を動かす
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[曲げ]機能による肘や膝の変形は、大きく動かすと形状が破綻します。これは、面倒でも一つ一つ手で修正しなければなりません。また、スカート、襟などの形を変えたいときにも、手作業が必要です。一番確実なのは、頂点編集を行うことです。
今回、おもに修正が必要なのは「襟(胸オブジェクトの一部)」、「リボン」、「スカート」、「裾」の4箇所です。
1.準備
編集オプションで、編集対象をを[点]に切り替え、コマンド[移動]で、頂点を一つ一つ、あるいはいくつかの頂点を選択して同時に動かします。
[編集オプション]で[縄]をオンにしておくと、[移動]ツールのまま投げ縄で頂点を選択できます。
また、誤って関係ないオブジェクトを選択、編集してしまわないように[現物]のチェックもオンにしておきます。
平面と違い、三次元での頂点の調整は、慣れが必要です。
頂点編集は、パース図や俯瞰などのカメラで作業しても、いつまでも正しい位置に修正できません。まず正面([F3]キー)から頂点を修正し、すぐに上面([F2]キー)、あるいは側面カメラ([F1]キー)に切り替えて、同じ頂点の奥行き位置を直すようにします。
いくつかのパーツを実際に修正していきます。
2.襟の修正
ポーズを変更したため、右の上腕に襟がめり込んでしまっています。
頂点を移動してこれを修正します。
(1)[オブジェクト]パネルで「胸」を選択します。下図のような視点から、[移動]ツールで襟の端付近の頂点を囲んで選択します。
腕がめり込んで見えませんが、[現物]のチェックがオンになっていれば、問題なく選択できます。移動ハンドルが囲んだ位置とずれて表示される場合は、余計な頂点を選択している可能性があります。もう一度選択をやり直しましょう。
(2)側面視点(F1)に切り替え、腕より上に出るように、選択した頂点を上方向に移動します。
(3)上面視点(F2)に切り替え、そのまま少し前に移動します。襟の端のラインが滑らかに見えることを意識してください。
(4)下図の位置の頂点も、それぞれクリックして選択、移動します。
(5)さらに視点を変えると、襟の端側の頂点の位置が引き九、余計な凹凸があることが分かります。
これを修正します。
(5)下図の位置の頂点は少し高い位置にあるので、山型に出っ張ってしまっています。
移動ツールでクリックして、緑のハンドルを下方向に少しドラッグします。出っ張りが目立たなくなればOKです。
(6)逆にその隣の頂点は少し上に移動します。肩の一部分がはみ出しているのが改善されます。
(7)下図で色を付けた4つの頂点も角の部分の頂点も移動します。ひとつずつ選択し、正面視点で移動します。
(8)さらに上面視点(F2)に切り替えて、下図で緑に塗った頂点の位置を整えます。
あまりでこぼこにならないように、意識します。
(9)これで襟の修正は終わりです。確認して他にも不自然な位置にある頂点があれば、同様の手順で移動して調整します。
(10)視点を後ろ側に回すと、左手首に服の「裾」がめり込んでいるのが分かります。襟と同様の操作でこれを修正します。
(11)[オブジェクト]パレットで「裾」を選択し、下図の3つの頂点を移動します。
3.リボンの修正
リボンはどこかのパーツにめり込んでいるわけではありませんが、動きを出すために頂点を移動していきます。
まずは側面視点(F1)から左側のリボンに動きを付けます。
(1)[オブジェクト]パネルで「前髪」「顔」「後髪」「頭リボン」を表示、「頭リボン」を選択します。
(2)リボンの場合も、袖と同様にひとつずつ頂点を移動する方法で修正ができますが、この方法だと自然な流れを作るのが難しく、慣れていないと折れ線上にガチャガチャと曲がってしまいます。
そこで、リボンの修正では肘や膝を曲げたときに使用した[曲げ]ツールを使うことにします。
側面視点(F1)に切り替え、[選択]ツール→[接続面]の設定で、左側のリボン全体を選択します。選択後は、選択が誤って解除されないように[スペース]キーで「選択固定」にしておきます。
(3)[コマンド]パネルから、[曲げ]ツールを選択し、まず根元に近い部分を画面右方向に曲げます。
(リボンのパーツには「曲面化」の設定がされているため、表示されている頂点数よりも滑らかに曲がります。)
(4)曲げ終わったら、右クリックして、一度曲げの範囲を解除します。
(5)次いで先端に近い部分を逆方向に曲げます。ひざ関節の時とは違い、「曲げ」の範囲は長めにとります。
リボン全体がゆるいS字を描くように意識してください。
(6)正面図(F3)から見ると、リボンは直線的です。
今度は[マグネット]ツールを使用します。各値の設定は下図を参照してください。
(7)[マグネット]ツールでリボンの付け根に近い側を少し内側にドラッグします。少しだけ外向きに曲げます。
(8)リボンの先端側を先ほどよりは多めに外側にドラッグします。先ほどとは逆方向に曲げます。
ここでも、ゆるやかなS字になるようにします。
(9)同様の手順で側面視点逆側(Shift+F1)から逆側のリボンを選択。
[曲げ]ツールで右側のリボンに動きを付けます。
(10)正面視点(F3)から[マグネット]ツールでS字に動きをつけます。
4.スカートの修正
最後に、太ももにめり込んだスカートを、自然な流れに修正します。スカートは「曲面化」が設定されているので、頂点を動かしても、面がその通りの位置には表示されません。全体的に少し内側に寄ってしまうので、スカートの面が表示されてほしい位置よりも若干多めに(外側に)移動することを意識するとよいでしょう。最終的には目視による確認が必要です。[移動]ツールのみ使用する方法で解説します。
(※ごく大雑把にいうと、曲面化とは角ばった形状の角を自動的に丸めてくれる機能で、スカートの布地の丸みを出すために使用しています。ここでは、角が取れる分、一回り小さくなるとイメージしておいてください。)
(1)[オブジェクト]パネルで不要なオブジェクトの表示をオフにして、編集対象の「スカート」を選択します。
(2)まず、下図の5つの頂点を1つずつ移動します。頂点の選択時に「脚」が邪魔なので非表示にしています。
(3)正面視点(F3)から画面を右ドラッグし、少し斜めにずらし、膝が真正面から見える視点に調節します。
それぞれの頂点を[移動]ツールで「太ももの一回り外側を囲む」ように配置します。
[移動]ツールで頂点をクリックして選択、「脚」の表示を元に戻し、移動ハンドルで画面上方向にドラッグします。
※下図の通り、ピッタリではなく、「1周り外側」がコツです。
(4)上面視点(F2)に切り替え、[移動]ツールで5つの頂点がなるべくまっすぐ(ゆるく弧を描くように)並ぶように青ハンドルで移動します。
この段階では、スカート外側の頂点を移動していないので、脚はめり込んだままです。
(5)次に、スカートの外側の頂点を移動していきます。
上面視点(F2)に切り替え、一旦「脚」を非表示にします。
スカートの淵が波打っていますが、これを滑らかな弧になるように移動します。
(6)スカートの外周では、移動したい頂点2つをセットで囲んで選択、移動します。
※バラバラに移動すると、フリルの幅が太くなってしまったり、スカートの淵と、フリルが離れてしまったりします。この段階では、まとめて移動する方が修正時の負担が少なくなります。
(7)上面視点でスカートの淵がきれいな弧を描くようになったら、次はこの頂点を緑ハンドルで太ももよりも上に持ち上げていきます。
移動する順番は、下図の通りにすると調節しやすいです。
(8)上面視点(F2)、「脚」非表示の状態で、頂点を選択。
(9)側面視点(F1)に切り替え、[オブジェクト]パレットで「脚」を表示します。
緑の移動ハンドルを上方向にドラッグして、頂点を移動します。脚の表示が邪魔で見難いかもしれませんが、ワイヤーフレームを頼りに高さだけを合わせます。
(8)頂点は太ももより少し高い位置に移動します。
「曲面化」されているため、この頂点を移動しただけでは、スカートの面が太ももよりも上に来ることはありません。
他の頂点を移動すると、正しく表示されるようになるので、この段階では頂点の位置だけ正しければOKです。
(9)その他の頂点でも同様の操作を繰り返し、太ももの一回り外側を囲むように頂点を配置します。
④、⑤番の頂点は少し低い位置にした方が、きれいです。側面視点で見難い時は、視点を変えて操作しても良いです。
ただし、この時使用するのは緑の移動ハンドルだけにします。(他のハンドルをドラッグすると位置がずれてしまいます。)
最終的に下図のように移動します。
(10)表示を確認して、おかしな点を修正します。
まず、①番の先端側の頂点の位置が低いため、フリルの先端が下を向いています。
先端側の頂点だけをクリックして、緑の移動ハンドルで少し上に移動します。
(11)移動した部分のスカートの丈が少し長すぎるので、もう少し脚が出るように移動します。
上面視点(F2)に切り替え、先ほど移動した頂点をごっそり選択し…左上方向に少し移動します。この時、移動しすぎて太ももが透けないようにします。
(12)これで丈も丁度良くなりました。
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