作業別ワークスペースを作ってみよう
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IllustStudioで利用するパレットなどは、自由に配置したり、ドックに格納したりと、さまざまな形態で表示できます。
こういったパレットの配置などを、IllustStudioでは「ワークスペース」と呼び、全部で10個まで保存して、呼び出すことができます。今回は、作例イラストを制作する作業工程を参考に、ワークスペースを工程別にカスタマイズする方法を紹介します。
[1]ワークスペースの登録と読み込み
ワークスペースに登録できるもの
ワークスペースには、ツールバーの表示内容とドックを含むパレットの配置を登録できます。
また、カスタマイズされた[ツール]パレットの内容(パレット内のタブや追加登録されたツールアイコンなど)も一緒に登録されます。
ワークスペースの登録
ワークスペースを登録(保存)する場合は、[ウィンドウ]メニュー→[ワークスペースに登録]を選択します。
初期状態の場合は、[ワークスペース1~10(未登録)]が表示されます。
いずれかのワークスペースを選択するとダイアログが表示されます。
ダイアログの[設定の名前]に任意の名前を入力して[OK]ボタンをクリックすると、登録は完了です。
ワークスペースの内容は[環境バックアップ]機能で保存できます。一部のワークスペースのみバックアップの対象にする場合は、バックアップ対象にするワークスペースで上図のダイアログで[環境バックアップの対象にする]をオンにします。
ワークスペースの読み込み
登録したワークスペースを読み込む場合は、[ウィンドウ]メニュー→[ワークスペースの読み込み]を選択します。
登録されているワークペースが一覧表示されるので、必要なワークスペースを選びます。
ワークスペースの上書き
ワークスペースの登録と同じ手順で、すでに登録されているワークスペースを上書きできます。
[ウィンドウ]メニュー→[ワークスペースの登録]で、登録してあるワークスペースを表示させて、上書きしたいワークスペースを選択します。
上書きの確認をするためのダイアログが表示されるので、[はい]を選べばワークスペースが上書き保存されます。
※一度登録したワークスペースは削除できないため、すでに10個登録している状態で新しいワークスペースを登録したい場合は不要なワークスペースに上書きして登録します。
[2]下描き用ワークスペースを作る
イラストの作業工程ごとにワークスペースを作ってみましょう。
工程ごとにワークスペースを作って登録しておくと、それぞれの工程に合わせて必要なパレット類を使い分けられるので便利です。
今回紹介するワークスペースはあくまで一例です。自分専用のワークスペースを作成するときは、これから紹介する内容を参考に、自分に合った環境を作っていきましょう。
まずは、ラフや下描き用のワークスペースを紹介します。
ラフや下描きを行いやすいように、ツールパレットのカスタマイズと、必要なツールパレットを配置します。
ツールパレットをカスタマイズする
(1)ツールパレットでは、ラフ・下描き用によく使用するツールをまとめますが、初期状態でツールパレットに登録されているツールアイコンを削除する必要はありません。リブを重ねるようにドラッグ&ドロップすると、リブがタブ化されてコンパクトにまとめられます。
※[ツール]パレットのカスタマイズ方法について詳しくは、機能解説!トラの巻「ツールパレットをカスタマイズする」を参照してください。
(2)リブをすべてまとめたら、ラフ・下描き用に新しくリブを作成して、そこに必要なツールを新しく登録します。
[ツール]パレットの左上にある[メニュー表示]アイコンをクリックして表示されるメニューから[ツールパレットのカスタム]を選びます。
(3)[ツールパレットのカスタム]ダイアログが表示されます。
[ツール]タブの左下にある[リブ]で、[新規リブ]ボタンをクリックして「鉛筆」という新しいリブを作成します。
(4)「鉛筆」リブが作成されたら、次に、ラフや下描きでよく利用するツールを登録していきます。
ここでは、[鉛筆]ツールと[パターンブラシ]ツールの[ツールセット]から下描きに便利なツールを登録しました。
(6)[ツール]パレットが整理できたら、パレットも下描きに便利なものを表示させておきましょう。
ここでは、下記5つのパレットを表示させました。
・[ツール]パレット
・[ツールスタイル]パレット
・[カラーセット]パレット
・[ツールオプション]パレット(※)
・[レイヤー]パレット
※先ほど、[ツール]パレットから直接ツールセットを選択できるようにカスタマイズしたので、[ツールセット]パレットから[ツールオプション]を分離して[ツールオプション]パレットのみワークスペースに登録します。
ツールオプションを分離するには[パレット]メニュー→[ツールオプションの分離]をオンにします。
ラフや下描きでは全体のバランスを考えながら描画することが大切ですので、パレットで画面を埋め尽くしてしまわないように気をつけます。
ツールバーをカスタマイズする
下描きするときに、キャラクターデザインや参考にする画像がある場合は、[サブビュー]パレットが便利です。大きく表示させる必要があるパレットを 常に表示させておくと描画スペースが狭くなってしまうため、こういったパレットは必要なときに簡単に呼び出せるようにしておきます。
必要なパレットを簡単に表示するためには、ツールバーを活用します。
[ファイル]メニュー→[カスタマイズ]→[ツールバーのカスタム]から[ツールバーのカスタム]ダイアログを呼び出して、ツールバーをカスタマイズします。
※ツールバーのカスタマイズについて詳しくは、「ツールバーをカスタマイズする」を参照してください。
ワークスペースの登録
このように設定した[ツール]パレットやツールバーの内容、パレットの配置がワークスペースのレイアウト情報として保存できます。
設定が終わったら、[ウィンドウ]メニュー→[ワークスペースに登録]からワークスペースを保存します。
[3]クリンナップ(清書)用ワークスペースを作る
ラスターレイヤーでのクリンナップ
下描き用のワークスペースと同様に、クリンナップ(清書)用のワークスペースを作ってみましょう。
まずはラスターレイヤーでクリンナップ(清書)する場合のワークスペースを紹介します。
クリンナップ(清書)のペン入れ時に便利に利用できるパレットは、下記4つのパレットを表示させました。
下描き用と同様に、[ツールオプション]を分離して使用します。
・[ツール]パレット
・[ツールスタイル]パレット
・[ツールオプション]パレット
・[レイヤー]パレット
ペン入れ作業では、タブレットの筆圧検知を利用した自然な描画を行いたいので、よく利用するペンを[ツール]パレットに追加登録しておきます。
[ツールセット]から[G]ペンや[丸]ペンなどの、タッチの違うペンを「清書」タブに登録しておき、クリンナップ時に使い分けをするといいでしょう。
[G]ペンで輪郭線などの主線を描画し、髪の毛などは[丸]ペンで描く、などの使い分けをすると、よりタッチが際立ちます。また、長い直線を引く時は強い補正がかかった[ぶれないペン]を使用します。
[消しゴム]ツールの[ツールセット]にある[レイヤー貫通]は、表示されているすべてのレイヤーに消しゴムをかけられるように設定されています。レイヤー分けをして描画した絵を一度に修正したい場合などに利用できます。
ベクターレイヤーでのクリンナップ
IllustStudioの特徴でもある、ベクターレイヤーを利用したクリンナップ用のワークスペースを紹介します。
[ツール]パレットには、[ペン]ツールに加えて、ベクターで利用できる[消しゴム]ツールの特殊機能を[ツールセット]から登録しておきます。
また、図形描画もベクターで威力を発揮するため、ここでは[図形]ツールも登録しておきました。
ベクターレイヤーでは、線がはみだしてしまった部分を[交点まで消去]のオプションに設定した[消しゴム]ツールで簡単に修正できます。
※ベクターレイヤーの詳細については機能解説!トラの巻「ベクターレイヤーを使いこなす」と、「ラスターレイヤーvsベクターレイヤー」を参照してください。
[4]色塗り用ワークスペース
彩色、着彩用のワークスペースを作ります。下描きやクリンナップとは違うパレットを準備します。
・[ツール]パレット
・[カラー]パレット
・[ツールスタイル]パレット
・[カラーガイド]パレット
・[カラーセット]パレット
・[ツールセット]パレット
・[レイヤー]パレット
彩色時には、色の調整を頻繁に行うため、カラー系のパレットの必要性が高まります。
また、[カラーガイド]パレットは色の調整やバリエーションを作成するときに参考になるため、彩色時にぜひ利用したいパレットです。
また、彩色では様々なツールセットを使い分けるため、[ツールオプション]は分離しない状態で、[ツールセット]パレットを使用しています。
[ツール]パレットでは「彩色」タブに水彩系のツール、[塗りつぶし]、[閉領域フィル]などのツールを登録しています。また、[ペン]ツールの[G]ペンは細かな塗り残しなどを埋めていく作業に活用できます。
[水彩]ツールの[水彩筆]と[なじませ]、[色混ぜ]を使い分けながら、下記の彩色手順に合わせて[ツールセット]を登録しました。
(1)[不透明水彩]などで大きな色のかたまりを彩色する。
(2)[塗り&なじませ]と[色混ぜ]で明るい部分から暗い部分の流れを彩色する。
(3)[丸筆]で細かい描き込みや、線画との調和を作り出す。
彩色する際は、線画からはみ出させて大胆に描くことで、勢いのある流れを捉えやすくなります。
(4)[塗りつぶし]ツールを使って、新しいレイヤーに赤色などわかりやすい単色で、髪の毛の部分を塗りつぶします。[閉領域フィル]ツールと[G]ペンを組み合わせて、細かな部分まで塗り漏れがないように色を埋めていきます。
(5)塗りつぶしが終わったら、[Ctrl]キーを押しながら[レイヤー]パレットのレイヤーアイコンをクリックして、赤で塗りつぶした部分を選択範囲として設定します。
(6)[選択]メニュー→[選択範囲の反転]で選択範囲を反転します。反転することで、はみ出した部分が選択できます。
髪の毛の塗りではみ出した部分を、選択範囲を利用して[Delete]キーで消去します。
(7)同様に肌色の部分も彩色をします。
(8)すべての色を塗り、ハイライト(瞳の明るい部分など)を描き込んで人物の塗りが完了です。
このように作業工程ごとにワークスペースを作成して、[ツール]パレットやそのほかのパレット類を使い分けると、スムーズにツールを選び作業を進められるようになります。
今回紹介した例を参考に、自分専用のワークスペースを作成してみましょう。
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