デコレーションブラシを使いこなす(モノクロ背景)前編
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[デコレーションブラシ]ツールは、装飾やキラキラとした光といった画面効果の描画によく使いますが、ブラシの作り方と使い方次第では背景の作画にも力を発揮します。
この講座では、次のような「草原と木」のモノクロイラストをデコレーションブラシを使って描画する方法をご紹介します。
今回の前編では下の絵の前景中景で使用している草ブラシを作成する方法を解説し、後編では木、木の柵、雲ブラシについて解説します。→後編はこちらをご覧ください
[1]作成するブラシについて
[2]遠景〜中景の草を描く
[3]近景の草と花を描く
デコレーションブラシの作り方の基本について詳細は、「機能解説!トラの巻 素材を作ろう」に掲載されている関連講座を参照して下さい。
講座内で使用しているブラシをCLIP STUDIO ASSETSで無料公開しています。設定等参考にしてください。
素材のダウンロード方法、使い方についてはこちらの講座をご覧ください。[1]作成するブラシについて
1.原稿の大きさとブラシ先端画像のサイズ
作成するブラシ画像のサイズは、実際に使用する際に必要な大きさと同程度にしておきます。
線画状のブラシの場合はこのことが特に重要です。
ブラシ画像よりも大きめに描いた時に次のように線が太くなり、小さめに描いた時に線が細くなります。
これに配慮して画像を作成します。
この講座の作例イラストは、実際の漫画のコマサイズを想定して、解像度600dpiのA4用紙サイズ(B5仕上がり)のうちの2/3くらいの面積に描いています。
2.ブラシの表現色
モノクロ原稿用のブラシを作る際には、基本的には[表現色]モノクロのレイヤーを使用して素材を作成します。
この講座の後編で解説しますが、グレーやカラーで作成した素材も[トーン化]機能を使うことで、モノクロ原稿に利用することができます。
※素材を登録する際の表現色について詳しくは、「機能解説!トラの巻>素材を作ろう!デコレーションブラシ①基本」をご覧ください。
3.マルチブラシ
マルチブラシとは、1つのブラシに複数の画像を登録したブラシのことです。
登録した画像の角度やサイズ、出現する順番などの項目をランダムに設定にすると、ばらつきが出て自然に見えるブラシになります。
なお、この講座で作成するブラシ素材はすべてマルチブラシです。
※詳しくは、「機能解説!トラの巻>素材を作ろう!描画ツールの基本②マルチブラシ」を参照してください。
[2]遠景〜中景の草を描く
小さめ〜中くらいの草を描くブラシを作成します。
遠近に合わせて草の書き込み具合や大きさを変えるため、ここでは次のようにテイストを変えた4種類のブラシを用意します。
1.画像を描く
まずは中くらいの草のブラシ「草(中)」に登録する画像を作成します。
表現色[モノクロ]のレイヤーを作成し、[ペン]ツールで放射状に草の線画を描きます。なお、画像のサイズは600dpiで13mm×9mm程度です。
線画を描き終えたら、内側の領域を白く塗ります。
※下図では白く塗った部分がわかりやすいようにキャンバスの背景色を灰色に変更しています。
1種類だけだと単調なブラシになってしまうので、同様に複数の画像を新規レイヤーに描画します。
「草(中)」ブラシには次の3種類の画像と、それぞれを左右反転させたもの、計6種類の画像を用意しました。
これらの画像を素材として登録し、新しく作ったサブツール「草(中)」の先端形状の画像として設定します。
※素材の登録方法、サブツールの作成方法などは「機能解説!トラの巻>素材を作ろう!描画ツールの基本①基本」を参照してください。
2.オプションを設定する
[サブツール詳細]パレットでブラシのオプションを設定します。
ブラシ画像を複数登録していることもあり、このままでも使用できますが、さらにひと工夫を加えます。
(1) ペンのパラメータを利用する
[ブラシサイズ]の影響元を筆圧に、[向き]の影響元を線の方向に設定します。
斜面に草を描画するので、「向き」は[線の方向]に設定しました。
ブラシサイズを筆圧の強弱でコントロールできるようになり、また、画像の向きが線の方向に合わせて変化するようになります。
次の画像の上が設定する前のストローク、下が設定後のストロークです。
(2)ランダムに設定してより自然な変化をつける
[厚さ]と[間隔]の影響元と、[繰り返し方法]をランダムに設定します。
ランダム設定にすることで、自然なばらつきを表現できます。
3.同様に他の草ブラシも作成する
同様の手順で、他の草ブラシも作成します。各ブラシは、それぞれ次のような画像と設定で作成しました。
■「草(線)」ブラシ
■「草(小A)」ブラシ
■「草(小B)」ブラシ
各素材のブラシ画像の1つ1つは、おおむね次のような大きさで作成しています。
「草(線)」=6mm×2mm、「草(小A)」=4mm×3mm、「草(小)B」=6mm×6.5mm
4.各草ブラシで描画する
新規レイヤーを作成し、各草ブラシを使用して描画していきます。
遠くのところは小さめのブラシ、近いところは「草(中)」を使うと良いですが、草の密集具合に合わせて使い分けます。
この草ブラシは[向き]のオプションが[線の方向]に設定されていますので、画面左から右へとストロークしないと、上下反転して描画されてしまいます。
[3]近景の草と花を描く
次に、大きめの草と花を描くブラシを作成します。
ここでは草のみの「雑草」ブラシと、草と花がセットになった「草花」ブラシを作成します。
作成の手順は、[2]の項目で紹介した草ブラシ4種類と同様です。
1.ブラシを作成する
各ブラシは、それぞれ次のような画像と設定で作成しました。
■「雑草」ブラシ
■「草花」ブラシ
各素材のブラシ画像のサイズはおおむね次のような大きさで作成しました。
「雑草」=20mm×23mm、「草花」=26mm×40mm
2.各ブラシで描画する
新規レイヤーを作成し、それぞれのブラシを使用して描画していきます。
さっとストロークするだけで、手描きで描くのは大変な生い茂った草花を描くことができます。
草ブラシ4種類、雑草ブラシ、草花ブラシを使用して下図のような草原が描けました。
次回は、木、木の柵、雲ブラシの作成方法と使い方について解説します。
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